この絵本の内容紹介あらすじ

節分の夜のこと、まこと君が元気に豆まきを始めました。「ふくはー うち。おにはー そと。」と煎りたての豆を力一杯に投げて回ります。

茶の間も客間も子ども部屋も玄関や台所も、家中に豆をまいて回り、さらには物置小屋にも豆をまくことにしました。

その物置小屋の天井には、昨年の春から『おにた』という親切な黒鬼が住んでいます。

まこと君が無くした物をこっそり拾ってあげたり、にわか雨の日に干し物を茶の間に投げ込んであげたり、靴をピカピカに磨いてあげたり、おにたはひっそりと親切な行いをしました。

おにたは恥ずかしがり屋な性格なので、誰にも気づかれないように用心して暮らしていたのですが、とうとう物置小屋を出る時が迫っています。

「にんげんって おかしいな。おには わるいって、きめているんだから。おににも、いろいろ あるのにな。にんげんも、いろいろ いるみたいに。」
豆まきの音を聞きながら、おにたは思いました。

豆まきの音がいよいよ迫ってくると、麦わら帽子を被って鬼の角を隠し、音を立てないように用心しながら物置小屋を出ていくのでした。

外では粉雪が舞って地面には雪が積もっています。おにたは次に暮らす家を探しますが、どこの家にも鬼の苦手な柊の葉が飾ってあり、住処を見つけることができません。

おにたが家々を回っていると、柊の葉を飾っていないトタン屋根の家をようやく見つけました。どこから入ろうかとキョロキョロ見回していると、突然と玄関の戸が開き、おにたは素早く隠れます。

家の中から出てきたのは、デコボコの洗面器を持った女の子。その女の子が雪を洗面器に入れている間に、おにたは静かに家に入って、天井の梁の上に隠れるのでした。

絵本「おにたのぼうし」の一コマ

部屋の真ん中では、女の子のお母さんが寝ています。風邪を引いたお母さんのために、女の子は雪で冷やしたタオルをおでこに乗せました。

「おなかがすいたでしょう?」
お母さんが目を覚ますと女の子を心配します。ところが、女の子はお母さんを心配させまいと嘘をつきます。知らない男の子が節分のご馳走の余り物を持ってきたと言うのでした。

その様子を梁の上から見ていたおにたは、居ても立っても居られません。そこで、こっそりと台所に向かうのですが、この家には米一粒、大根一切れすらないことを知るのです。

それから、おにたは台所の窓の破れたところから寒い外に飛び出し……。


おにたの優しさに温かい感情が芽生えることでしょう。しかし、最後に待ち受けているのは悲しい鬼の宿命。どうして鬼だというだけで悪者扱いなのでしょうか。

この絵本に登場するのは、優しい心の持ち主ばかり。それなのに、おにたには悲しい運命が待っています。

鬼と人間の関係性を描いたこの物語に、誰しもが何かを感じることでしょう。