この絵本の内容紹介
「あー、きもちいい!」
カエルが水浴びしていると、どこからか話し声が聞こえてきました。
「きょうも あついねえー」
「ゆきでも ふれば すずしくなるのに」
それはウサギとキツネの話し声でした。
カエルはふたりの会話に興味津々。思わず声を掛けました。
「ねえねえ。ゆきって なあに?」
これまでカエルは雪を知りませんでした。それで思わず声を掛けたのです。
「ゆきはね、しろくて フワフワしていて そらから ふって くるんだよ。ひんやりとして きもちが いいよ」
「それに キラキラと かがやいて とっても きれいなんだ」
それを聞いてカエルはさらに興味津々。雪のことをもっと知りたくなりました。
「どこに いけば ゆきが あるの?」
カエルは実際に雪を見てみたくなったのですが……
「どこに いっても ないよ。ふゆに ならないと ゆきは ふらないんだよ」
「ゆきは ふゆの おくりものなんだよ」
残念なことにカエルは冬の寒さが大の苦手。雪が冬にしか降らないことを知ってがっかりしてしまいました。
ところが——
「じゃあ つぎの ふゆまで いっしょに まとうよ」
「そうだよ。みんなで まてば きっと だいじょうぶだよ」
ふたりの提案に勇気づけられたカエルは、次の冬を一緒に待つことにしました。
それからというもの、カエルとウサギとキツネは大の仲良しになりました。
水遊びをしたり、トンボを追いかけたり、木苺を取ったり——いつも一緒に遊び、充実した毎日です。
ところが、秋になるとカエルは寒さに耐えられなくなってきました。
ある日、木枯らしがピューと吹くと、カエルはガタガタと震え始め、とうとう動かなくなってしまいました。
「カエルくん! カエルくん!」
ウサギとキツネは涙ながらに呼びかけますが、カエルはぴくりとも動きませんでした……。
とても悲しい結末かと思いきや、最後は心温まる展開が待っています。
寒い冬が過ぎ去り、暖かな春の風が運んできたのは……。