この絵本の内容紹介
ある日、トムは市場で小鳥に心を奪われ、父親に買ってもらった。その日から、トムは小鳥をそれは大事に育てた。えさをやり、いっしょに遊び、似顔絵を描いて見せてやった。けれど、小鳥は狭い鳥かごの中で、元気をなくし、日増しに弱っていった。羽が抜け落ち、ぐったりと鳥かごの底に横たわった。トムはなんとか小鳥と心をかよわせようとした。そして、小鳥が広い大空のもと、仲間や子どもたちのいるところへ帰りたがっていることを察する。愛しくてたまらない小鳥だけれど、でも……。トムはとうとう、鳥かごの戸を開け、窓をあけはなった――。本当の愛情、相手を思いやる心を、静かに、けれど力強く描いた字のない絵本。トムの表情のイラストはどれも気持ちがひしひしと伝わってきて、いまにも少年の声が聞こえてきそうだ。絵本の醍醐味がしっかり味わえる秀作。