この絵本の内容紹介あらすじ

むかしむかしあるところに言葉の世界がありました。この言葉の世界の真ん中にひらがなの国という穏やかな国がありました。この穏やかなひらがなの国で起きた珍事のお話です。

ひらがなの国は、「あ」から「ん」までの五十音がくっつきあって意味を成す言葉たちが暮らす国です。

ある日、南部の「や」行の町の道端にどういうわけか「゛(濁点)」が置き去りにされていたのです。
主たるべきひらがなもなしに濁点だけでいるなんて今まで起きたことのない珍事だったのです。

これはどうしたことかと「や」行の町の住人たちが集まってきます。住人たちが濁点にどうしたことかと尋ねます。
濁点は深い森に住む「ぜつぼう」さんに長年仕えた濁点だったのです。

「せ」の文字に付いて忠実に職務を果たしてきた濁点でしたが、「ぜつぼう」さんがいつも嘆いているのは自分のせいだと考えたのです。

「ぜつぼう」よりも「せつぼう」のほうがいくらかマシだと思った濁点は、「ぜつぼう」さんを説得し、お別れすることにしたのです。

濁点は、「や」行の町の住人に、どなたか私をもらってくれませんかと懇願します。しかし、「ぜつぼう」に仕えていた濁点ですから縁起が悪いと誰も相手にしてくれません。
困り果てた濁点は、嫌われ者の「やくざ」さんや「ゆすり」さんにも懇願しますが、「やぐざ」にはなりたくない、「ゆずり」になったら商売あがったりだと断られてしまいます。

しかし、そんな珍事を聞きつけた、大きな「おせわ」さんが、濁点のもとにやってきました。「おせわ」さんは、濁点を自分の「せ(背)」に乗せ、世話してやると言うのです。
濁点はどうなってしまうのでしょう?

この絵本は、言葉を擬人化したちょっと変わったユーモア溢れる絵本です。言葉遊びに興味を持ち始めたお子さんにぴったりの絵本ですね。

趣向を凝らした物語に大人の私たちも感心してしまうことでしょう。