絵本

ペドロの作文

独裁って何だろう?
歪んだ社会の不条理を、軍事独裁政権下のチリで暮らす少年ペドロの視点から描いたお話。

この絵本の内容紹介あらすじ

ペドロは誕生日にボールをもらったというのに不満げな様子。プロサッカー選手が蹴るような白と黒の革製のボールが欲しかったのに、軽いビニール製のボールだったからです。

ペドロはパパに不満を告げますが、取り合ってもらえません。パパはラジオに集中したかったので、「静かに」という仕草をペドロに向けるのでした。

パパの毎晩の日課はラジオのニュースを聴くこと。ひと月前から街中で軍人を見かけるようになって以来、パパは遠くから届くニュースをラジオで聴くようになったのです。

大人がラジオに集中している様子は、ペドロにとっては不思議なことでした。ぼんやりとした疑問はあれど、ペドロにとっては他人事のようです。

十月のこと。ペドロは近所のサッカー仲間でスターになりました。食料品店の息子ダニエルからパスを受けると、華麗なドリブル捌きでディフェンスをかいくぐり、最後は鮮やかなゴールを決めたのです。ペドロはサッカー仲間と大はしゃぎ。

ところがある日、ペドロが華麗なシュートを決めたというのに、サッカー仲間の様子がいつもと違います。みんなは、突っ立ったまま食料品店のほうを見ていたのです。

ちょうどペドロがシュートを決めた頃、ダニエルのパパは軍人達に取り囲まれていました。ダニエルがパパに近寄ろうとすると、軍人がダニエルを遮ります。そして、ダニエルに食料品店を託して、ダニエルのパパは軍人達に連れて行かれるのでした。

その場に取り残されたペドロとダニエル。
ペドロは、ダニエルのパパが軍人達に連れて行かれた理由が分かりません。ところが、ダニエルはその理由を分かっていました。

「パパが、独裁に反対だからさ」

ペドロも聞き覚えのある言葉「独裁に反対」。
夜のラジオでよく聞く言葉ですが、ペドロはその言葉の意味が分かりません。

「自由な国がいい、軍人なんか、いなくなればいいって考えることさ」
ダニエルは声を潜めてペドロに言いました。

その日の夜、ペドロは「独裁」について考えていました。パパとママに混じって、ペドロもラジオを聴いていたところ、「軍事独裁政権」という言葉が聞こえてきました。その言葉を聴いた瞬間、ペドロの頭の中でバラバラだったことがパズルのようにカチッとはまったのです。

次の日、学校に軍服を着た男がやって来ました。
この男は、ロモ大尉。ペルドモ将軍の指示で、子ども達に作文を書いてもらうためにやって来たのです。

作文のテーマは、「わが家の夜のすごしかた」。
何を書こうかさっぱりだったペドロも、優秀な作文を書いた生徒に贈られるご褒美のために、なんとか作文を書き上げ、後は結果を待つだけ。

ところが、その出来事を知ったペドロのパパとママは気が気ではありません。ペドロが作文に何を書いたのかが心配でならなかったのです。

さて、ペドロが作文に書いた内容とは一体何だったのでしょうか。


この絵本は、当たり前にある日常の素晴らしさを思い起こさせます。世界のどこかでは、子ども達から学校やサッカーを取り上げる現実があること、子ども達が大人の事情に忖度せざるを得ない現実があること、様々な不条理が転がっているのです。

平和であることの大切さを改めて考えるとともに、自由が許されない人々がいるといった現実について考える機会が与えられることでしょう。

出版社からの内容紹介

舞台は1970年代のチリ。軍国主義の波がひたひたと押し寄せ、ペドロの学校にも軍人がやってくる。両親は夜、どんなお話をしているか作文に書かされる。さて、3年生の少年は・・・。

出版社「アリス館」より
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