この絵本の内容紹介
巣から飛び立ち、少しずつ大人になっていく小鳥たち。でも、レオンはまだ見ぬ外の世界への不安がいっぱいで、一歩を踏み出す勇気がありません。本当は飛びたいけど…無関心を装います。
そんなレオンの様子を見守っていたお父さんが、ある日レオンを巣から蹴り落とすのです。無我夢中で羽をはばたかせるレオン。ああ、もみの木にぶつかりそう!いいえ、レオンはちゃんと飛んでいたのです。
【解説】
子どもから大人への一歩を踏みだそうとするとき、目の前に広がる未知の世界は、子どもにとってどこか恐ろしく、不安なものなのではないでしょうか?
ほんの一歩踏みだせばいいとわかっていても、それができずに自分だけ置いてけぼりになっているような気がしてしまうのです。この絵本では、そんな子どもの気持ちを察し、父親が後押ししてくれますが、周りの人々の温かい目や励ましも、成長過程の子どもには重要なのでしょう。
ミレイユ・ダランセは子どもの不安な気持ち、またハードルを越えた一瞬を、温かく深みのある絵で描いています。特に、レオンが木の上から見下ろす世界は子どもの漠然とした不安を、見事に表現しています。
【冒頭ページ紹介】
いつのあさも おなじでした。
あのこをおこすことは だれにもできませんでした。
ことりのレオンは いつも くちばしを ふかく はねにしずめて ねむっていました。