この絵本の内容紹介
誰も知らない山奥で綿のような雪が降り始めました。しんしんと降っていた雪もいつしか大雪となり、山や谷を白一面に覆い尽くすのです。
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ミチオのいる山にも大雪が荒れ始めました。あっという間に景色は様変わりし、前も後ろも、右も左も見分けがつかないほどに大雪が猛威を振るいます。
そんななか、風の音に紛れて微かな声が聞こえました。
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その声の正体は、気味の悪い雪女。ミチオが気付く間もなく、雪女はミチオの顔に氷のような息を吐きました。すると、ミチオは頭の芯に痛みが走り、気が遠くなっていきます。ミチオが気を失うと、雪女は何かを味わうように、少しずつゆっくりと息を吸い込むのでした。
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そのころ、布団で眠るハナコの枕元に、謎の小さな男が現れました。
枕元の電気スタンドが突然と点灯し、ハナコが目を覚ますと、そこに小人が立っていたのです。
「お願いがあります。わたしといっしょに来てください」
小人の切羽詰まった様子に、思わずハナコは頷いてしまいました。
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ハナコにとって、夜中に外を出歩くのは初めてのこと。横でちょこちょこ歩く小人を気味が悪いと思いながらも、どこかで会ったことのあるような安心感も覚えます。
「大切な人が、とても困っているのです」
小人はそう言いますが、それが誰なのか、どこに向かうのかは教えてくれません。
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町外れまで歩き、ついには山の入り口まで来てしまいました。山の麓では、見慣れない一行が山から下りてきます。その一行は、聞いたこともない言葉でひそひそ話。会話に夢中で、ハナコに目もくれません。
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ハナコと小人が山の奥に進んでいると、次は遠くから地響きのような音が近づいてきました。その地響きを起こしていたのは、一本足の不思議な群れ。猪のような顔をした一本足の怪物は、ずしんずしんと跳びはねながら、どこかへ急いでいるようです。
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さらに山の奥に進んでいると、ハナコは段々と不安になってきました。朝までに帰らないとお母さんが心配するし、お父さんから叱られてしまうのです。どこへ向かっているのかも分からないので、なおさら不安が募ります。
「動かないで! 目を閉じて! 何があっても、けっして目を開けてはなりません!」
突然、ハナコの手を引きながら小人が囁きます。
ハナコ達の近くに現れたのは、三つ目の恐ろしい出で立ちの見越し入道。大雪の影響で獲物にありつけない見越し入道は、腹を空かせて苛立っています。
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「どさっ」
目を閉じて、じっとしていたハナコですが、木から雪が落ちた音に驚いて、思わず顔を上げてしまいました。
すると、さっそく見越し入道に見つかってしまいました。それから見越し入道は、ハナコを摘み上げると大きな口を開き……。
絶体絶命のハナコは一体どうなってしまうのでしょうか。そして、小人は何から何を助けたかったのでしょう。
恐ろしく、そして滑稽で、それでいて美しい妖怪達の不思議な世界を描いた絵本です。すべてのページを鉛筆で描き、光と影のコントラストで魅了します。
読み進むにつれてモノクロームの世界に引き込まれていくような、そんな錯覚を覚えることでしょう。
巻末には、絵本に登場する妖怪の解説付き。