この絵本の内容紹介あらすじ

「どうして あんなこと いうんだろう。」
「じぶんがされたら イヤなことを、どうして ひとに できるんだろう。」

私には嫌いな人が何人かいます。そんな人達は、みんな石につまずいて転んでしまえばいいのに。私は、そう考えてしまうのです。

嫌いな人がいると全然楽しくないし、嫌だったことを思い出してしまうし、「わたしって、ダメなの?」と考えてしまうし・・・。そうやって、自分のこともどんどん嫌いになってしまうのです。

「ああ、だれかを にくんでいるじかんが もったいない!」

絵本「ころべばいいのに」の一コマ

そんなこんなで、私は頭の中で嫌いな人をやっつけます。

例えば、嫌いな人をぎゅーっと小さくして、「パーン!」と両手で挟み潰してみたり。お腹冷やしロボットを操って、嫌いな人のお腹を痛くさせてみたり。蜂を操って、嫌いな人の頭の上をブンブン飛ばしみたり。

そうやって嫌いな人をやっつけることもあれば、嫌なことがあった日に考えることもあります。

例えば、今起きている嫌なことは、私が主人公の映画の可愛そうなワンシーンだと考えたり。可愛そうな目に遭うと『かわいそうポイント』が貯まって、あとで欲しいものと交換してもらえると考えたり。

嫌なことがあってどうにもならない日は、全然関係ないことをして過ごしてみようとも考えました。

例えば、頭から箱をすっぽり被って変顔してみたり、無心で靴下をくるくる丸めてみたり、意味もなくドレッシングを思いっきり振ってみたり・・・。

「まあ、でも、ダメなときは、なにをやっても ダメよねー。」

嫌な気分を何かに例えると『突然のどしゃ降り』みたいなもの。自分ではどうしようもないのです。そう考えると、雨宿りできる場所が必要ということのなのかもしれません。私は自分だけの秘密の隠れ家をいつか作ろうと思いました。そして、少しくらいの雨ならば、いっそのことビチャビチャに濡れてみようかとも思いました。いずれにしても、嫌な気分が雨のようなものだとしたら、いつかは必ず止むのです。

絵本「ころべばいいのに」の一コマ2

それに、今は嫌いな人でも、そのうち仲良くなるかもしれません。お互いを嫌いだと思い込んでいるだけなのかもしれません。それでも、どうしても好きになれない人がいるのは何故でしょう。その理由はひょっとして……。


嫌なことってどんなことだろうか。嫌なことってどうやって対処すればいいのだろうか。学校の帰り道、女の子が真剣に考えるお話です。その様子はユーモアに溢れています。

一言で嫌なことや嫌いな人と言っても、視点を変えると違う印象になったり、気持ち一つで前向きになれたり、多様な考え方や見え方があることを描きます。

大人は子どもに対して「仲良くしなさい」と言いがちですが、嫌いな人がいるという現実を、そのまま受け入れることも必要なのでしょう。頭の中を嫌いな人や嫌なことで占領されてしまうことのほうが、よっぽど不健康だと問いかけてくるかのようです。

大人になっても、どこにいても、嫌なことはあるかもしれないし、嫌いな人はいるかもしれません。そんなときにどうするか、自分で決めなければなりません。この絵本は、そのどうするかを考えさせてくれます。そして、今すでに悩んでいる人にとって、心の処方箋になるはずです。


絵本『ころべばいいのに』のプロモーションビデオ