この絵本の内容紹介
僕のお爺ちゃんは最近亡くなってしまいました。そして、家族みんなでお爺ちゃんの部屋を片付けていると、ベッドの下からノートが出てきました。
このノートの表紙には『このあと どうしちゃおう』と書かれています。お爺ちゃんは自分が死んだらどうなりたいか、どうしてほしいかをノートいっぱいにイラスト付きで記していたのです。
僕がノートを開くと『このあとのよてい』と書かれたページがありました。そこに記されているのは、自分が死んだらどうなるかということ。まず最初に、この世を旅立つと幽霊センターに行きます。ここで幽霊になると、この世の様子を見にいくことが出来るようになるのです。
そして、それに気が済んだら今度は天国へ行きます。天国には何でもあって、何でも出来て、形を変えてこの世の様子を見にいくことも出来ます。それでも天国に飽きたら、最後は生まれ変わりセンターに行って、別の生き物に生まれ変わるのです。
他のページには『てんごくにいくときのかっこう』も記されています。お爺ちゃんは、リュックやウエストポーチ、肩掛けバッグを身に付けて、荷物をたんまり詰め込んでいます。メガネや保険証やお財布だったり、絆創膏やカメラや着替えだったり、さらには神様へのお土産まで。帽子を被って、双眼鏡も首から下げて、まるでキャンプにでも行くかのような格好です。
さらには『うまれかわったらなりたいもの』というページもありました。お爺ちゃんは、お金持ちに飼われる猫になりたかったり、末っ子になりたかったり、クイズのチャンピオンになりたかったり、キンモクセイの木になりたかったり……。このように、なりたいものがページいっぱいに描かれています。
他にも『こんなかみさまにいてほしい』『てんごくってきっとこんなところ』『いじわるなアイツはきっとこんなじごくにいく』『こんなおはかをつくってほしい』『みんなをみまもっていくほうほう』『みんなにつくってほしいきねんひん』といった、愉快で楽しげなことが目一杯記されています。
そんなお爺ちゃんのノートを眺めていると、僕は天国に行くのが楽しみになってきました。僕の今の気持ちと同じように、お爺ちゃんも死ぬのが楽しみだったのでしょうか。
「もしかしたら ぎゃくだったのかもしれない。」
「おじいちゃんは もしかしたら ほんとは さみしくて すごく しぬのが こわかったのかもしれない。」
「だから このノートを かいだんじゃないだろうか。たのしいことを たくさん かんがえて しぬのが こわくなくなるように。」
ふとそんな考えが浮かぶと、僕はお爺ちゃんがどんな気持ちだったか気になり始めました。そして、お父さんに聞いてみることにするのですが……。
この絵本は『死』をテーマに扱っているにも関わらず、ユーモアに溢れて楽しく仕上がっています。それと同時に「今をどう生きていくかが大切」といった深いメッセージが込められています。お爺ちゃんの『このあと どうしちゃおう ノート』を楽しみながらも、生きる意味や生きる価値にふれることが出来るでしょう。