この絵本の内容紹介あらすじ

昔々、ある年の暮れに神様は動物達にお触れを出しました。そのお触れとは、正月の朝に御殿に来るようにということ。また、来た者から順番に十二番までを一年ずつその年の大将にするということです。

動物達は、それを聞いて自分こそは一番乗りだと大騒ぎを始めました。

猫はあまりにも張り切りすぎて、神様のところに挨拶に行くのはいつだったのかを忘れてしまいます。そこで、鼠に尋ねるのですが、鼠は正月の二日の日だと嘘を教えます。

牛は自分が鈍いことをわかっているので正月の前の晩から御殿まで出発し始めます。そして、姑息な鼠はこそっと牛の背中に飛び乗って、すやすやと眠りながら朝を待ちます。

やがて朝になると、御殿の門が重々しく開きました。牛は前の晩から出発したので、そのころには門の前で待っていました。

ところが、鼠が牛の背中から飛び降りると、ちゃっかり一番乗りを果たします。そして、鼠が一番乗りだったので牛は二番になってしまいます。

足の速さが自慢の虎は、颯爽と御殿まで辿り着きますが、それでも前の晩から出発していた鼠や牛には敵いません。

虎の次には、同じく足の速い兎も御殿に到着しますが、自慢の足にかまけて油断してしまい、一番にはなれませんでした。

そうやって動物達は競い合いながら神様のいる御殿を目指し、龍、蛇、馬、羊……と御殿に到着します。

他にも狐や狸、鹿や狼、リスや鶴、亀やイタチも御殿を目指したのですが、みんな一緒に出発したのでお互いにぶつかったり、転んだりして、とうとう十二番までに間に合わなかったのです。


この絵本は、十二支の始まりや動物達の順番にまつわる経緯いきさつを民話をもとに描きます。それぞれの動物達の個性が存分に影響しながら干支の順番は決まったのです。

お正月になると年賀状などで十二支の話題がよく出てきますが、「十二支って何?」「どうしてその動物なの?」「どうしてその順番なの?」と知っているようで知らないことがたくさんあります。そんな疑問に楽しく応えてくれるのがこの絵本です。お正月シーズンにぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

民話独特の「〜だと。」という言い回しも味わい深いお話です。猫は鼠に騙されて十二支に入れず、それが原因で鼠を追いかけ回すようになったというオチにクスッとしてしまうことでしょう。