この絵本の内容紹介あらすじ

ルビーのクラスでは、お気に入りのものについて発表する『見せておはなし』の時間になりました。

ルビーのお気に入りのものは、大好きな本です。この本についてお話しすることに決めていたのですが……。

「ほんとに これでいいのかな……うまくはなせなかったら どうしよう」

「しつもんされても こたえられなかったら?」

「おはなしするときに げっぷが出たら?」

不安なことや心配なことが次々と頭をよぎってしまいます。

不安なまま発表本番を迎え……

ルビーの不安や心配は尽きませんが、それでも順番は回ってきます。みんなが次々と発表していき、いよいよルビーの出番が回ってきました。

ところが、ここで不運なことが起きてしまいます。出番が回ってきたルビーは、みんなの前に出て行こうとしたのですが……なんと、自分の靴紐を踏んでしまい、その場でよろけてしまったのです。

この不運な出来事をきっかけに、ルビーの発表は台無しです。発表用のメモを落としてしまったり、次は言葉が出てこなくなったり……しまいには笑い声が聞こえてきました。

こうして居た堪れない気持ちになったルビーは、急いで席に戻り、しょんぼりと俯いてしまうのでした。

絵本「ドキドキにまけない! 不安症のルビー」の一コマ

午後から仕切り直し

「ルビー、だいじょうぶだよ」

落ち込むルビーに先生は優しく声を掛けた後、続けて提案しました。

「しんこきゅうして、ごごのじゅぎょうで もう一かい やつてみよう。みんな、ルビーの本のおはなしを たのしみにしているよ」

こうして午後の授業で再挑戦することになったルビーですが、お昼休みになっても「見せておはなし」のことが頭から離れません。

何度も練習したので話すことも覚えているのですが……それでも不安は尽きず、誰もいない校庭で改めて練習することに――

果たして、ルビーの発表は成功するのでしょうか。


この絵本に登場するルビーには不安症という特徴があります。

そのため、不安が尽きなかったり、心配事が頭から離れなかったりするのです。

一方、裏を返せば、不安や心配があるからこそ、些細なことにも気づけます。不安症の子ども達は、他人の表情や動きから気持ちを鋭く読み取れたりするのです。

『障がい』とは何なのか、『個性』とは何なのか、大切なことを考えるヒントが散りばめられた絵本です。

巻末には『不安症の特徴』『話し合ってみましょう』『不安になったときのヒント』『解説(こころとそだちのクリニックむすびめ院長 田中 康雄)』が収録されており、障がいへの理解が一層深まります。