この絵本の内容紹介あらすじ

キャンプ場に到着したスカウトメンバーは、さっそく大はしゃぎ。

これから始まるキャンプが楽しみで仕方がありません。

サミーは「きっと さいこうの キャンプになるぞ!」と思いました。

サミーは文字を読むのが大の苦手!?

「赤チームには、これから はたさがしをしてもらいます」

キャンプリーダーのジェスは号令を掛け、続けて旗探しの説明をしました。

「ちずを見ながら チームのはたを見つけて、くらくなるまえに ここにもってかえってきてね」

こうしてサミー達の旗探しの冒険が始まるのですが……。

「サミー、みちあんないを たのむよ」

声を掛けてきたのは先輩スカウトのマット。サミーは道案内を任され、地図を渡されました。

ところが、地図を渡された途端、サミーは喉に何かが詰まるような気がしました。そして、地図をゆっくり広げると、文字が踊って見えました。

「あの、ほかのしごとは ありませんか?」

サミーは気分が悪くなり、小さな声で訊ねますが、他のメンバーから返事はありません。

みんな、準備で忙しくてサミーの言葉に気づかなかったのです。

絵本「きおくはかんぺき! ディスレクシアのサミー」の一コマ

サミー達は迷子に!?

出発の準備を終えると、いよいよ旗探しの始まりです。

地図上の文字は相変わらずピョンピョン跳ねて見えますが、それでもサミーは地図と向き合わなければなりません。

サミーは不安ながらも道案内を始めますが、段々と雲行きは怪しくなり……遂にはまったく違う道に行き着いてしまい、大きな牛に追われる羽目に――

サミーは地図上の文字が上手に読めず、道案内が出来ませんでした。途中、デイジーと役目を代わることになってしまいます。

それでも、みんなの役に立てることがきっとあるはず。

さて、旗探しはどうなるのでしょうか。


この絵本に登場するサミーには学習障害の一つであるディスレクシアという特徴があり、地図上の文字が上手に読めません。

この『ディスレクシア』という言葉は、馴染みの薄い言葉かもしれませんが、実は一定の人々が苦労しています(米国精神医学会によると、限局性学習症と診断のつく子どもは5〜15%、成人では4%といわれている)。

ディスレクシアは、文字や言葉を上手に認識することが出来ないという特徴がある一方、視覚情報に関しては抜群の記憶力を発揮するといった特徴もあります。

この絵本の前半ではディスレクシアのネガティブな側面が描かれていますが、後半ではポジティブな側面が描かれています。

『障がい』とは何なのか、『個性』とは何なのか、大切なことを考えるヒントが散りばめられた絵本です。

巻末には『ディスレクシア(読字障害)の特徴』『話し合ってみましょう』『記憶を定着させるためのヒント』『解説(こころとそだちのクリニックむすびめ院長 田中 康雄)』が収録されており、障がいへの理解が一層深まります。