この絵本の内容紹介あらすじ

休み時間が終わり、みんなが教室に戻ってくると事件が起きていました。

クラスで飼っているウサギのスノーボールのエサが、教室の床に散らばっていたのです。

「うわぁ、なに これ!」
「だれが やったのかしら?」
「いったい どうして?」

突然の出来事に、クラスはざわついてましたが……

「わたしにまかせて!」

イジーは大声でそう言うと、「きっと はん人を見つけだすから!」と続けました。

そして、さっそく捜査開始と思いきや……チャイムが鳴ったので捜査はお預け。ジーン先生が教室に入ってくると、算数の授業が始まりました。

ところが、イジーは事件のことで頭がいっぱい。算数の問題に集中しようにも、先生の声はロボットのように聞こえてしまうし、黒板の数字はピョンピョン跳ねて見えてしまうし、落ち着いて授業を受けることが出来ません。

「ぜったいに なぞをとかなきゃ」と思いが先走り、体をモゾモゾさせてしまったり、机を指で叩いてしまったり、鉛筆を噛んでしまったり、パッチン留めを何度もパチパチ鳴らしてしまったり……「たかいところで かんがえたほうが、いいアイデアがうかぶかも」と思って、しまいには机の上によじ登ってしまったり……。

絵本「ひらめきでなぞとき! ADHDのイジー」の一コマ

ジーン先生は優しく注意しますが、当の本人は事件のことが頭から離れません。教室の窓が開いているのを見つけると、事件の手掛かりだと思って、窓へ駆け寄ってしまいました。しかも、他の生徒達も真似してしまい……。

「いったいどうしたの? なにを見ているの?」

ジーン先生はここでようやくイジーの落ち着きのなさの理由を知ることとなりますが、一体どのように対応するのでしょう。


この絵本に登場するイジーには発達障害の一つであるADHDという特徴があり、授業に集中することが出来ません。

この『ADHD』という言葉は、近年では聞き馴染みのある言葉になってきましたが、その特徴に詳しい人は少ないのかもしれません。

落ち着きがない、集中力がない……といったネガティブなイメージが目立つかもしれませんが、実はポジティブな側面もあって、例えば、好奇心旺盛・活動的・ひらめきの瞬発力が高いといった特徴もあります。

そして、これらの特徴が、社会で活躍する原動力となっていることもあるのではないでしょうか。今回のお話では、イジーの行動力が、困惑するクラスメートを一致団結へと導きます。

『障がい』とは何なのか、『個性』とは何なのか、大切なことを考えるヒントが散りばめられた絵本です。

巻末には『ADHDの特徴』『話し合ってみましょう』『記憶力を高めるヒント』『解説(こころとそだちのクリニックむすびめ院長 田中 康雄)』が収録されており、障がいへの理解が一層深まります。