この絵本の内容紹介
「ぼく」は宇宙飛行士。いろんな星を調査するのが仕事です。
ある星で出会ったのは、前にも後ろにも目がある宇宙人。「ぼく」が後ろを見えないことを知ると可哀想に思って、ものすごく気を使ってくれるので変な気持ちになってしまいます。
この星では前も後ろも見えるのが当たり前なのですが、生まれつき後ろが見えない宇宙人もいて、「ぼく」と同じなのですごく話が盛り上がります。
地球では後ろが見えないのが当たり前ですが、他の星には他の星の「当たり前」があるのです。例えば、足が長いのが当たり前、空を飛べるのが当たり前、体が柔らかいのが当たり前、他にも……。
前にも後ろにも目がある宇宙人のなかにも生まれつき全部の目が見えない宇宙人がいました。この全盲の宇宙人の世界の見え方は、「ぼく」とは全然違うものでした。
例えば、自分の予定はメモの代わりに録音しておく、外を歩くときは杖を使う、自動販売機では買ってみるまで何が出てくるかわからない……他にも「ぼく」とはたくさんの違いがあるのです。
「ぼく」と後ろが見えない宇宙人は、目の見えない人の世界があるとしたらこんな感じなのかなと想像します。例えば、声のいい人がモテる、手触りや匂いで服を選ぶ、粘土メモを使う……他にもたくさんの想像が膨らみます。
この絵本では、見える人と見えない人の世界の感じ方の違いを描きます。さらには、見えないからできないことや見えないからこそできること、誰だって少なからず違いがあることも描きます。
このお話は、「障がい」というものをちょっと違ったアプローチで考え直す機会を与えてくれることでしょう。また、みんなが感じている「当たり前」を見直す機会を与えてくれることでしょう。
対談 ヨシタケシンスケ×伊藤亜紗
伊藤亜紗:視覚障がい者がほとんど出て来てないですよね。けれども視覚障がい者のことが描かれているっていう感覚がすごく衝撃的で。全然違うアプローチだけれども一番大事な部分を絵本じゃなきゃできない形で形にしてくださったなぁって。(一部抜粋)
ヨシタケシンスケ:この本の一番の僕の中での勇気のいった部分というのは、目の見えない人を宇宙人として描いている。
普通にケラケラ笑いながら読んでもらえれば一番良くて、考えなきゃいけないみたいに思ったんだとしたらそれは私のミスです。(一部抜粋)