この絵本の内容紹介
家族みんなで食卓を囲み、大好きなカレーライスを食べていると、フミオの口のなかで何か硬いものが当たりました。
口の中から出てきたのは小さな黒い粒。お父さんは、この黒い粒に思い当たる節がありました。本棚の奥の方から分厚い本を取り出します。そして、黒い粒の正体を突き止めました。
この黒い粒は世にも珍しいカレーの種。さっそく、庭に埋めることにしました。
「カレースキスキ、カレーノタネガ、カレースクスク、カレーガミノル、ポロコリ、ペリコル、ピリカラ、ホイ!」
お父さんは分厚い本を見ながら、フミオとお母さんはお父さんを見ながら、変な歌を歌って、変な踊りをしました。
すると翌朝、庭の土から薄黄色の芽が出ていました。今度は、お父さんはとても大きなジョウロを持ってきて、家族総出で水やりです。辛いカレーを食べるときに水をたくさん飲むのと同じで、辛いカレーの木の芽にも水がたくさん必要だと言うのです。
翌朝になると、小さな芽はすっかり木になっていました。よく見ると、カレーの木の葉っぱは上等なお皿です。
そしてさらに翌朝、カレーの木から小さな花が咲きました。よく見ると、この小さな花は福神漬けです。
そのまた翌朝、カレーの木には小さな実がついていました。黄色いのがカレーの実で、白いのがライスの実です。
カレーの実とライスの実は日に日に大きくなり、美味しそうな匂いを漂わせます。カレー屋と間違って近所の人が集まるほどです。
毎日一生懸命に世話をすると、やがて収穫の日を迎えます。カレーの実とライスの実と福神漬けの花を収穫し、葉っぱのお皿に盛ると、美味しそうなカレーライスの完成です。そして、フミオがさっそく食べようとしたそのとき……。
カレーライスを食べたくなること間違いなしのお話です。読み進めるうちに食欲が湧いてくることでしょう。
まさか木からカレーが実るとは。その想像力には思わず感心してしまいます。また、お父さんの真剣な様子にクスッと笑いが込み上げます。