この絵本の内容紹介あらすじ

子どもの頃、チコには翼がありませんでした。他の鳥と同じように、歌うことも跳ねることも出来ましたが、飛ぶことだけは出来ませんでした。

それでも、チコには助けてくれる仲間がいました。高いところから木の実や果物を取ってきてくれたのです。

そんな毎日を過ごすなか、チコはときどき考えました。「ほかの とりみたいに、—— とべたら いいのになあ」と。「きんいろに かがやく つよくて りっぱな つばさが あったら、——」と。

不思議な鳥との出会い

ある夏の夜のこと。チコがふと目を覚ますと、真珠色に輝く不思議な鳥が舞い降りてきました。そして、何でも願いを叶えてくれると言うのでした。

「ぼくにも つばさを ください。りっぱな きんいろの つばさを!」

チコがこれまで願ってきたことを伝えると、驚くことが起きました。なんと、願いどおりに金色の翼が生えてきたのです。それからというもの、チコはすっかり飛べるようになりました。

ところが、チコの仲間達は不愉快でした。チコが金色の翼を見せびらかし、特別であるかのように振舞っている——そう感じたのです。チコは、不意にも仲間外れにされてしまうのでした。

金色の羽根は黒色に

そんなある日、チコは一人の男に出会いました。その男は目に涙を浮かべ、途方に暮れていました。子どもが病気を患っているのに貧しくて薬が買えなかったのです。

チコはその理由を知ると、良い考えが浮かびました。

「それなら、ぼくの はねを あげましょう。これを うって、くすりを かってください」

チコが金色の羽根を抜くと、そのあとに黒い羽根が生えてきました。それでも金色の羽根はまだまだ残っていました。

チコはこの金色の羽根を役立てようと、困っている人を見かけるたびに羽根を抜いていきました。

絵本「チコときんいろのつばさ」の一コマ

そうして、チコはすっかり黒い翼の鳥となって、やがて仲間達のもとに帰っていくのでした。

「ようやく きみも ぼくたちと おなじになったね」

仲間達はそう言って、ようやくチコを受け入れてくれました。ところが——、チコには思うことがあって眠ることが出来ませんでした……。


ピクトブック編集部の絵本談議

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最後は意味深な感じだね。

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うんうん。
きっと、『みんな同じ』という同調圧力に対するメッセージのようなものがあるんじゃないかな。

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鋭いね!
含みを持たせた描かれ方だけど、きっとそんなメッセージが感じられると思うよ。
ちなみに、見た目だけじゃなくて心の部分の個性も描かれてるんじゃないかな。

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チコは威張ってたわけでもないのに、仲間外れにされたのは辛かっただろうね。それでも、人の役に立とうとしたんだから凄いよね。

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妬み嫉みをしないように気をつけなきゃ!

ところで、別の絵本の「にじいろのさかな」では、威張った魚が出てくるんだけど、合わせて読むと面白いかもね!