この絵本の内容紹介
●児童書を専門とした世界最大の見本市・ボローニャ・ブックフェアにおいて、総合的に優れている本に贈られる「ボローニャ・ラガッツィ賞」。2024年フィクション部門の最優秀賞に輝いた、珠玉の一冊。
●日本にルーツをもつ作者のイッサ・ワタナベが、日本伝統工芸の金継ぎになぞらえ、人間の絶望を、希望と復興を、絵で探求したサイレント絵本。
●カバータイトル部分には箔押しが施され、ギフトにもおすすめ。日本の読者に向けた、作者あとがき付き(訳・柴田元幸)。
お茶会を楽しむうさぎと小鳥。しかし突然別れが訪れ、うさぎは喪失の旅に沈んでゆく……。アメリカ文学史上の奇跡、エミリー・ディキンソンの詩と一体になって、人々の復興に寄り添う、希望にあふれた一冊。
ボローニャ・ラガッツィ賞 選評
深いやさしさとユニークな方法で表現された物語は、私たちを暗闇と海の底へ連れてゆく。喪失の旅を詩的に案内してくれるのだ。その旅で私たちが目撃するものは、どんなにつらい苦しみのあとでも回復してしまう、私たち人間の驚くべき力。
物語は、日本伝統工芸の金継ぎと、さりげなく添えられたエミリー・ディキンソンの詩と一体となって、深く傷ついた心を癒していく。私たちは、暗闇を通り抜け、また新しい道と始まりを見つけて、残ったものからまた何かをつくりあげることができるのだ。
金継ぎとは
樹脂と金の混合物を使って、壊れた陶磁器を、継ぎ目がわざと目立つように修復する日本伝統工芸の金継ぎ。断面を隠すのではなく、見えるままに残すことで、物が美しさを獲得し、唯一無二の事物となる。