この絵本の内容紹介
僕の名前は「けんと」。
「強くてたくましい男の子になってほしい」とお父さんが付けた名前です。
僕は自分の名前を気に入っていますが、それとは裏腹に欠点があります。それは好き嫌いが多いということ。
起きるのも、学校に行くのも、勉強も嫌い。でも、図工だけは大好き。お肉は嫌いだけど、お魚は大好きです。そして、犬や猫や虫などの小さな生き物も大好きです。
自分はカワセミ!?
ある日の放課後、僕は近くの川原の草むらで虫探しをすることに。何が見つかるのか楽しみで、ドキドキワクワクの時間です。
ところが、遊びに夢中になっていたところに突然の雷が……。
辺りは真っ白になって、そのあとはわからなくなってしまいました。
「足をけがしたのかな?」
目を覚ました僕は、歩こうとしますが、上手く歩けません。そして、フラフラしながら川岸まで行くと、不思議なことに気づきました。
「あんなに木は大きかったかな?」
「岩もたくさんあって、歩きづらいなぁ!」
いつもより周りのものが大きく見えたのです。しかも、不思議なことはこれだけではありません。驚くことが起きていたのです。
「あっ、カワセミだ!」
川の中に一羽のカワセミがいるのを見つけましたが、そのカワセミは水中から出てくる気配がありません。
しばらくして、僕は何かに気づき、横を向いたり、片足を上げたり、頭を掻いたりしてみると……。水中のカワセミも同じ動きを……。
「あっ! このカワセミ? もしかしてぼく?」
なんと、そのカワセミは僕自身だったのです。水中にいるはずのカワセミは、僕自身が水面に映し出されたものだったのです。
僕はカワセミとして生きることに!?
「ガーン! でも待てよ?! これで勉強も宿題もやらなくていいぞ!」
驚く出来事に一度は落胆する僕でしたが、嫌いなことから解放され、喜びが勝ります。僕は嬉しくなって何度も手を振り上げました。
すると、カワセミとなった体が宙に浮かんだのです。それからさらに強く腕を振ると、稲妻のように早く飛ぶことができました。
僕はスーパーマンのように空を飛べていることに大はしゃぎ。こうしてカワセミとしての暮らしが始まり——。