この絵本の内容紹介
今日は、まこちゃんの入園式。園から帰ってきた後、隣町からおばあちゃんが来ました。
ところが、まこちゃんは元気がありません。おばあちゃんが「おめでとう」と声を掛けても返事もせず、黙って積み木を積んでいるのです。
「おや、おや。どうかしましたか。」
「にゅうえんしきから かえって、おひさまえんに いかないって、いいだしたんですよ。」
おばあちゃんはお母さんから事情を聞くと、まこちゃんに似た誰かさんのことを思い出しました。
「おや まあ、だれかさんに、そっくりだ。」
おばあちゃんのその言葉に、まこちゃんは興味津々。積み木を積んでいた手を止め、誰かさんの話をおばあちゃんに尋ねるのでした。
誰かさんはとても元気な女の子。春になる前から幼稚園に行くのを楽しみにしていました。
ところが、入園式から帰ってくると元気をなくしてしまいました。
「あたまが いたい。」
「おなかも いたい。」
そう言って幼稚園を避けるようになってしまったのです。
それでも幼稚園に行かなくてはなりません。翌朝、お母さんは誰かさんを連れて幼稚園に向かいました。
「やだあ、やだあ、いやだあ」
ところが、登園することは出来ませんでした。誰かさんは幼稚園の門の前に着くと、大声で泣き出してしまったのです。そして、大声で泣く誰かさんに不思議なことも起きました。
温かい春風がさあっと吹くと桜が舞い、その花びらと一緒に小さな声が降ってきたのです。
「やだあ、やだあ。ないちゃ、いやだあ。」
この不思議な出来事がきっかけで誰かさんは幼稚園に行くようになりました。桜を泣かしてしまったのが気になったのでしょう。
そして、誰かさんの幼稚園嫌いもすっかり消えていました。春の終わりには自然動物園へ楽しい遠足、夏の初めには川遊び、秋には賑やかな運動会、冬はワクワクのお遊戯会。幼稚園の様々な行事を楽しみながら月日は流れていったのです。
「おばあちゃん。ねえ、だれかさん、ようちえんに いくようになって、よかったねえ。」
まこちゃんは、おばあちゃんから誰かさんの話を聞いて心境に変化が現れ……。