子ども達は絵本の読み聞かせが大好きですよね。毎日、絵本の読み聞かせをせがまれることもあると思います。

その反面、読み聞かせのコツがわからずに悩んでいるお母さんやお父さんも多いのではないでしょうか。

絵本に興味はあるけれど、読み聞かせの方法もわからないし、そもそも何のためにするのか、絵本を読み聞かせる意味や効果がわからない、という方も多いことでしょう。

そこで、絵本の読み聞かせのコツや効果をお伝えしたいと思います。


絵本の読み聞かせの効果ってなんだろう?

絵本の読み聞かせは子どもに良い影響を与えると言いますが、実はお母さんやお父さんにも良い影響があります。では、良い影響とはなんなのでしょう。順番にご紹介していきます。

親子のコミュニケーションが深まり家族愛が育まれる

読み聞かせの最大の効果はお子さんと同じ目線でひとつの世界観を共有できるということです。

絵本の読み聞かせでは、親子で同じ場所、同じ時間、そしてひとつの物語を共有することになります。

喜びや悲しみ、様々な感情を分かち合いながら、どんなことに興味があって、どんなことを感じているのか、お子さんの気持ちを汲み取りながら絵本の読み聞かせをしてみてください。

そして、親子でひとつの世界観を共有しながら、お子さんの一番の良き理解者になってあげてください。

想像力・知的好奇心が育まれる

これからの時代は暗記力よりも知識の活用力が重要だと言われています。

沢山のことを覚えることも凄いことではありますが、多くの情報はインターネットで気軽に得ることができるようになりました。

そういった意味では、情報をどう捉え、その情報を活用してどのような新しいアイデアを生み出すか、といったことが求められるようになってきています。

新しいアイデアを生み出すうえで想像力や知的好奇心は必要なスキルです。

大人になるにつれて多くの常識を身に付ける反面、想像力や知的好奇心は育みにくい環境へとシフトしていきます。

想像力や知的好奇心を育みやすい子ども時代に絵本の読み聞かせを沢山してあげましょう。

絵本の読み聞かせを聞きながら、物語の先を考えてワクワクしたりドキドキしたり。

登場するキャラクターが喜んでいるのか悲しんでいるのか、はたまた怒っているのか、いろんな気持ちを想像してみたり。

絵本の読み聞かせが終わったあとも物語の続きを考えたり、あのときああだったら……と空想したり。

絵本の読み聞かせをとおして想像力や知的好奇心はどんどん育まれていきます。

また、多くの言葉にふれることで語彙力も自然と身につきます。

語彙が増えると表現力も豊かになり、想像したことや興味のあることを上手に表現できるようになります。

集中力が育まれる

絵本の読み聞かせを始めたばかりの頃や絵本の読み聞かせに慣れていないお子さんの場合、読み聞かせをしても途中で飽きてどこかに行ってしまうなんてことは日常茶飯事だと思います。

「うちの子は集中力がないのかな?」「絵本に興味はないのかな?」と読み聞かせを諦めてしまうお母さんお父さんも多いことでしょう。

ただ、そこで諦めてしまうのはもったいないことです。

絵本に集中できないお子さんでも、今日がだめなら明日、明日だめでも明後日……と根気強く繰り返すうちにだんだん絵本に興味を持つようになり、自然と集中できるようになります。

クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々

「クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々」という本をご存知でしょうか?

この本は、複雑な障害をもって生まれたクシュラという女の子のノンフィクション成長物語です。

クシュラは、染色体異常でさまざまな障害があり、複数の医師から精神的にも身体的にも遅れていると言われていました。

呼吸のトラブルで昼も夜も眠れずにむずかるクシュラのために、母親が生後4ヶ月から絵本の読み聞かせをはじめたところ、クシュラは強い関心を示しました。

それ以来、絵本の読み聞かせは日課となり、時には1日に14冊もの絵本を読み聞かせ、時には1冊の本を何百回と読み聞かせることもありました。

そして、絵本をとおして多くの言葉や世界観にふれ、5歳になる頃には平均よりも高い知能を持つようになりました。

クシュラのように染色体異常を持って生まれた子どもは長く生きられないことがほとんどだと言われていますが、クシュラは大人になると母親の提案で親元を離れ、自立した生活を送るまでになりました。

「クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々」は、絵本の読み聞かせをとおして深まる親子の絆とクシュラの成長を記した素敵な本です。

絵本の読み聞かせをこれからはじめようという方はぜひ読まれてみてはいかがでしょうか。

クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々

絵本の読み聞かせってコツはあるの?

「絵本の読み聞かせにコツはあるの?」と疑問や悩みを持たれる方は多いことでしょう。

結論から言うと絵本の読み聞かせにコツはあります。

お子さんの成長に合わせた絵本の読み聞かせ方法だったり、読み聞かせの姿勢だったり、といったような少し気を配るだけで実践できるテクニックをご紹介します。

あかちゃん(0〜1歳)の特徴と読み聞かせのコツ

読む

「絵本の読み聞かせはいつから始めたらいいのだろうか?」
そんな悩みを抱えるお母さんお父さんは多いです。

絵本の読み聞かせに早いはありません。胎教としてお腹の中のあかちゃんに読み聞かせをすることもあります。

あかちゃん向けの絵本は、話が単純で繰り返しの多い色味がはっきりしたものを選びましょう。

あかちゃんは、話の内容を理解できるわけではありませんが、読み聞かせでお母さんやお父さんの声を聞かせて安心させることに意味があります。
「これは何かな?」「きれいだね」「大きいね」などシンプルな言葉で問いかけてみてください。もちろん、答えや感想をあかちゃんに求める必要はありません。
絵本の物語に注意を引くことを目的に様々な問いかけをしてみてください。

また、あかちゃんは視力が発達途中なので、はっきりした色合いの絵本が好ましいでしょう。様々な色に出会うこともあかちゃんにとっては新しい刺激になります。

絵本はゆっくり読んではダメ!? 絵本のフラッシュ読み

あかちゃんに絵本を読み聞かせるとき、言葉もわからないのでゆっくりゆっくり読み聞かせますよね。

この方法は、実は必ずしも良いこととは限らないのです。

あかちゃんは直感をつかさどる右脳は発達していますが、論理をつかさどる左脳は発達していません。
そのため、ゆっくりゆっくり読んであげても言葉を理解しているわけではないので、いつまでも同じ絵を見せられて飽きてしまうといったことになってしまうのです。

あかちゃんに読み聞かせる場合は、フラッシュ読みという方法が有効です。
フラッシュ読みとは、絵本をゆっくりゆっくり読むのではなく、1ページを1〜2秒でめくっていく読み方です。

1ページを1〜2秒だとほとんど文字は読めないですよね。
フラッシュ読みの場合はそれでいいのです。読み聞かせなのに文字をしっかり読まないことに違和感を感じる方もおられるでしょうが、お母さんお父さんの声を聞かせながらも基本は絵を見せることに重点をおいて読み聞かせしてあげてください。

幼児(2~3歳)の特徴と読み聞かせのコツ

読む

2歳くらいになると『語彙爆発』という沢山の言葉を覚えて様々な言葉を話す時期に入ります。

急激に言語能力が発達する時期になりますので、日常で使う言葉には注意が必要です。
家庭での会話を素直に吸収するので、保育園の先生達も驚くようなことを話し始めたりすると、お母さんお父さんは顔が赤くなるような恥ずかしい想いをすることになるかもしれません。

そのくらい凄いスピードで新しい言葉を習得する時期ですので、ある程度ストーリー性の高い絵本を読み聞かせしてあげると興味津々で聞いてくれるでしょう。

この頃になると絵本の世界観にふれながら絵本を楽しむようになり、時には身振り手振りで、時には歌を歌ったり質問してきたりと絵本の読み聞かせに積極的に参加してくるようになります。

今までは子どもは静かに聞きながら、お母さんお父さんが様々な問いかけをしながら読み聞かせをすることが多かったでしょうから、突然、積極的に絵本の読み聞かせに関わってくるので戸惑うこともあるかもしれません。

そういった変化は、物語の世界に入り込んで想像を働かせ始めるサインでもあります。感情豊かに育つきっかけや個性を育むきっかけになる時期ですのでお子さんと世界観を共有しながら温かく見守ってあげましょう。

幼児(4歳〜)の特徴と読み聞かせのコツ

読む

時には身振り手振りで、時には歌を歌ったりしながら絵本の読み聞かせに参加する時期を過ぎると絵本の物語を紐解いて考えようとするようになります。

感覚的に感じ取っていた絵本の世界観を次は論理的に感じ取ろうとするようになります。

「どうして喜んだのか」「どうして悲しんだのか」
そういった「どうして」を心の中で考え始めるようになります。

この頃になると内容の深い絵本の物語も楽しめるようになり、お母さんお父さんの読み聞かせに対する役割というのが少なくなってきます。

黙々と絵本の世界に没頭し始め、さらには絵本を一人でも楽しめるようになってくると読み聞かせの機会も少なくなってくるかもしれません。

それでも忘れてはいけないのが、絵本の読み聞かせの一番大きな意味は、お子さんと同じ目線でひとつの世界観を共有できるということです。

絵本の読み聞かせでは、親子で同じ場所、同じ時間、そしてひとつの物語を共有することになります。

喜びや悲しみ、様々な感情を分かち合いながら、どんなことに興味があって、どんなことを感じているのか、お子さんの気持ちを汲み取りながら絵本の読み聞かせをしてあげてください。

幼い頃の記憶は曖昧でも、感覚的にはずっと残っていくものです。
子育ては環境が大事だと言われるとおり、お子さんがこれから何十年と生きていくうえで幼い頃の家族の絆はこれからの人生を左右するとても大事なものです。

お膝に抱っこで読み聞かせ

絵本の読み聞かせで多いのが、親子対面で座る紙芝居のようなスタイルです。

ご家庭ではどのようなスタイルで絵本の読み聞かせをされていますでしょうか?

絵本の読み聞かせの最大の効果は、お子さんと同じ目線でひとつの世界観を共有できること。そういった意味で、お互いの体温が感じられる距離、膝の上に抱っこして読み聞かせすることをおすすめします。

繰り返し同じ絵本の読み聞かせ

絵本の読み聞かせをしていると、すでに読んだことのある絵本を何度も何度も読み聞かせしてほしいとせがまれることがあります。

子どもの想像力や語彙力を育む意味では、まだ読み聞かせていない他の絵本にもっとふれてほしいと思うこともあるでしょう。

しかし、一つ覚えておかなければいけないことは、子どもは同じことの繰り返しが好きな生き物ということです。

小さい頃は「いないいないばあ」を何回しても喜んだりします。もう少し大きくなってもお笑い芸人の流行りの一発ギャグを飽きるまで繰り返したりしますよね。

絵本の読み聞かせの場合、同じ物語の繰り返しでも一度目よりも二度目のほうが絵本への印象が強くなり、新しい発見があったりするものです。お子さんはそういった変化を楽しんでいるのです。

なので、同じ絵本の繰り返しでも想像力や語彙力を高めるきっかけは沢山隠れているのです。

絵本ってどうやって選べばいいの?

絵本に興味はあるけど絵本の選び方がわからないというお母さんお父さんも沢山おられます。

書店に行けば『何歳向けの絵本』など分類されているので、ある程度は選択肢が絞れます。

ですが、それでも沢山の選択肢の中から選ぶとなると悩ましいものですよね。

そもそも日頃が忙しくて書店でじっくり絵本を探す時間も体力もないという方も多いと思います。

絵本の選び方の基本は、お子さんの年齢にあった絵本を選ぶということです。

それに加えて、例えば今が春なら春らしいテーマでといったことや子どもは乗り物に興味があるので乗り物に関する絵本といった具合に年齢・季節・ジャンルという3つの指標で選んであげると選びやすいです。

年齢・季節・ジャンルという3つの指標で絞ったら、最後は表紙のデザインだったりという直感やレビューの評価を見比べながら選べば良いでしょう。きっと素敵な絵本に出会えるはずです。