絵本

夢は牛のお医者さん

小学校での出来事が将来の夢に!? 夢を諦めない一人の少女の物語。

この絵本の内容紹介あらすじ

この絵本の主人公ともみさんの夢は、動物のお医者さん。

動物と言っても、犬や猫のペットではありません。牛や豚といった人間が食べるための家畜です。その家畜を診察するお医者さんになることが、ともみさんの夢なのです。

ともみさんがこの仕事を夢見たのは、小学3年生のころ。3頭の牛との出会いがきっかけでした。

ともみさんが通うのは、新潟県松代町にある立莇平(あざみひら)小学校。冬には3メートル以上の雪が積もる、家が30軒だけの山の集落にあります。

立莇平小学校の生徒はたったの9人。教室は、5・6年生が一緒に勉強する「高学年」と2・3年生が一緒に勉強する「低学年」の2つだけ。

1987年、春。この年に新入生は一人もいませんでした。そこで、校長先生は悩んだ末に仔牛を新入生として迎え入れることに決めたのです。

新入生がいないはずのその年、子ども達は3頭の仔牛が入学することを知って大喜び。

3頭の仔牛を迎え入れるにあたって、みんなで相談して決めたことは2つ。
9人が3つの班に分かれて1頭ずつ世話すること。名前もそれぞれの班で決めること。

ともみさんの班は、強い牛に育ってほしいという願いを込めて「強子(つよし)」と名付けることにしました。

4月のある朝、今日は仔牛の入学式。農家の岡本さんがトラックで3頭の仔牛を運んできました。

仔牛の名前は「モグタン」「強子」「元気」。生後1ヶ月程度の仔牛達は、ちょっと大きい犬くらいの大きさです。

3頭の仔牛は、この日から立莇平小学校のクラスメートになりました。

それ以来、毎朝7時半には9人全員の子ども達が学校に集まって、牛舎の掃除をしたり、仔牛に水を飲ませたりしました。休日でも誰一人休まず仔牛の世話をしました。これは先生に言われたわけではなく、自主的に取り組み始めたことなのです。

仔牛のエサは干し草や配合ミルク。すごい勢いで食べるので、地域の人が買ってくれたエサだけでは足りません。そこで、子ども達は近所で草を取ってきて干して食べさせます。仔牛の体重は毎日1.5キロずつ増えていくのでした。

3頭の仔牛が来てからというもの、学校生活は今まで以上に楽しくなりました。ともみさんは、昼休みも放課後も仔牛にべったりです。

一緒にグラウンドを走り回っては、疲れて牛舎でお昼寝。ともみさんは、強子を枕にお昼寝するのが大好きでした。

ところが仔牛達は、学校に来てしばらく経ったころからお腹を壊すようになりました。獣医さんに治療してもらう日もあるほどです。

仔牛達の体調不良は長引きますが、何度も獣医さんを呼ぶこともできません。子ども達は、これまで以上に念入りに看病するしかありませんでした。

そんなある日、ともみさんにある思いが芽生えました。
「わたしがお医者さんになって、なおしてあげる!」
これが、ともみさんの夢の始まりになったのです。

仔牛達の体調不良は1ヶ月ほど続きましたが、6月になると子ども達と運動会に参加するほど元気になりました。牛のタイヤ引き競争では、みんな大盛り上がりです。

子ども達と仔牛達の楽しい日々は夏休みも続きますが、3頭の仔牛達との別れの日もだんだんと近づいていました。

子ども達は3頭の仔牛を迎えるにあたって先生と約束していことがあります。それは、仔牛達が400キロになるころには出荷するということ。

3頭の牛はみんなオスなので、牛乳を出すわけでも赤ちゃんを産むわけでもありません。食べるお肉になるのです。

子ども達は、仔牛を世話する間にたくさんの大切なことを学びました。大切に世話をすれば言葉が通じなくとも心が通じ合うこと、人は他の動物を食べないと生きていけないこと、「いただきます」は「命をいただきます」ということ、何にも変えがたい学びがあったのです。

夏休みが終わり、木々が紅葉で色付く冬間近の秋のこと。最後になるかもしれない仔牛達の体重測定が始まります。そして、仔牛達の体重は380キロを超えていました。

子ども達は、仔牛達との別れに「牛の卒業式」を行うことを考えました。そして、卒業式の日がついにやってきました。

子ども達は1頭1頭の卒業証書を読み上げ、「お世話になった方々へのお礼」を読み上げ、最後の「おわかれのことば」をともみさんが読み上げました。

仔牛達との別れは、子ども達にとって大きな悲しみです。大きな声を出せば出すほど涙が溢れます。トラックに乗った牛達に、いつまでもいつまでも手を振り、声をかけ続けるのでした。

強子たちがいなくなっても、ともみさんの夢は変わりません。小学校や中学校を卒業し、高校に入学してからもその夢に向かって努力を続けました。

獣医師の仕事は力作業でとても危険です。そのため、獣医師のほとんどは男性なのです。そのような現実があるなか、ともみさんは「牛のお医者さん」として歩み始めることはできたのでしょうか。


この絵本は実際の話をもとに制作されました。テレビ新潟が26年間密着取材したドキュメンタリー番組が映画化され、2014年春に単館上映をスタート。その後、大きな話題となったこの映画が、次は絵本として描かれました。

命の育みをとおして「いただきます」の本当の意味を教えてくれます。また、夢を持つこと、夢に向かって努力することの大切さを教えてくれます。

夢を持っている子ども達にも、まだ夢を持っていない子ども達にもおすすめの絵本。食育の一環としてもおすすめの絵本です。

出版社からの内容紹介

夢をあきらめないひとりの少女の物語。

新潟県の山あいにある小さな小学校に3頭の子牛が“入学"してきました――。
当時、小学3年生だった少女が、牛の世話をするなかで抱いた夢・・・・・・、それは「牛のお医者さん」。
懸命に世話をした牛との別れ、家族や周囲の支えと夢への熱い思いを胸に挑んだけわしい獣医師への道。
そして、“ペット"ではなく、“家畜"のお医者さんとなったかつての少女は、今も「いのち」と向き合いながら、日日戦っています……。

2014年春に単館上映からスタート、その後大きな話題となったテレビ新潟製作の同タイトル映画を絵本にしました。
観客の感動と涙をよび、公開からわずか4ヶ月でミニシアターでは異例の2万人を突破。ぴあ初日満足度ランキング1位を獲得。以後、日本映画ペンクラブ賞、日本映画批評家大賞、日本民間放送連盟賞など多くの賞を受賞し、いまなお各地で上映が続いています。

“夢をあきらめない"を、全国のこどもたちたちに届けます。

出版社「小学館」より
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