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おさけのたき

出版社からの内容紹介あらすじ

「おさけのたき」は、岐阜県養老町に古くから伝わる“養老の滝伝説”をもとにしたお話です。

養老の滝については、史実として『続日本紀』(797年)に記されています。それによると、“霊亀3年(717年)美濃国(今の岐阜県)に行幸した元正天皇が、多度山の美泉で顔や手を洗ったところ、肌はなめらかになり、痛みどころもなくなったので、「この美泉は目出度いしるしであり、老いを養なう」といって、年号を「養老元年」と改めた”ということです。これがいつのころからか伝説化し、鎌倉時代の説話集『十訓抄』(1252年)や『古今著聞集』(1254年)の中では“孝子の養老の滝伝説”として、次のように記されています。

“元正天皇の代、美濃国に貧しいキコリの父子がいた。父はことのほか酒を愛し、しきりに酒を欲しがった。親孝行な子はせっせと働いては酒を買い、父に飲ませた。ある日、子が山で転んだ時、強い酒の匂いがするので、岩の間から流れ出る水を飲んでみると、これが酒だった。よろこんだ子は、毎日この酒を汲んでは、父を養った。この話を聞いた天皇は、霊亀3年行幸し、孝心を讃えて「養老の滝」と名づけたという。”

このような酒泉伝説は、千葉・福島・新潟・山梨・徳島などの各県にも伝わっています。

さて、この本では、人里はなれた山の中で暮らすキコリの父子の、ごく自然な生活といったものを、表現するようにしてみました。したがって、お酒の滝の出現についても、一つの不思議な事件、といった程度の扱い方しかしていません。お互いを理解しあい、助けあいながらひっそりと生きる父子の姿に、現代人が忘れかけている〈なにか〉を感じとってもらえれば幸いです。

出版社「いずみ書房」より
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