この絵本の内容紹介あらすじ

木こりの親子の茂作さんとみの吉さんは、いつも二人で山へ出かけ、木を切っていました。

ある冬のこと、いつものように山へ出かけた二人は、吹雪で山小屋へ避難します。
一晩、親子は山小屋で夜明かしすることにしました。

夜中のことです。息子のみの吉さんは寒さで目を覚まします。気づくと小屋の戸が開いています。
ふと横を向くと驚いたことに、白い着物の女性がいるではありませんか。その女性は冷たい息を茂作さんに吹きかけていました。恐怖で叫んで逃げたいみの吉さんでしたが、なぜか体が動きません。

その女性は、今度はみの吉さんの方へやってきます。
そして、しばらくじっとみの吉さんを見つめていました。やがて、その女性はみの吉さんにこう言うのです。
「私はあなたを横の人と同じように、眠らせようと思いました。でもあなたは若くて美しい。あなたを助けましょう。でもここで見たことを誰かに話したら命はありません。」
そう言うと女性は去っていき、翌日、親子は発見されますが、茂作さんは亡くなり、みの吉さんだけ助かりました。

しばらく元気がなかったみの吉さんですが、ある日美しい少女と出会います。二人は結婚し、子宝に恵まれます。実はこの少女こそが、あの吹雪の夜に出会った女性だったのです。

二人はどんな結末を迎えるのでしょうか。

雪女は「雪んば」「雪女郎」とも呼ばれる山の神の使いです。雪山の恐ろしさを人間たちに知らしめる存在として語り継がれています。雪山で遭難し、凍死した人を「雪女に魅入られた」と例えることもあり、山岳信仰として山への畏怖や敬意の念を表していました。雪女が美しい女性として語られるのは、春には溶けて消えてしまう雪の儚さを表現しています。

美しい挿絵で描かれる、悲しくも美しい雪国の物語です。

出版社からの内容紹介

“ゆきおんな”という言葉には、どこか神秘的で、幻想的な味わいがあります。

「雪女」は、雪国地方の伝説に登場する“雪の精”で、雪女郎・雪娘とも呼ばれています。

ふだんは人間の味方である自然も、冬になると、とたんに恐ろしい敵と化して、人々をおそいます。降りつもった雪は、雪崩となって家々をおしつぶし、時には人命をも奪います。雪の中をさまよう人は、あまりの寒さに凍死することさえあります。冬の自然は、そこで生活する人々にとって、まさに恐ろしい現実なのです。この冷酷さからのがれるために、人々は家にとじこもり、ながく厳しい冬を過ごさなければなりませんでした。

しかし、山を谷をはたけを、白一色につつんだ美しい雪景色は、人々にロマンを与えずにはおきませんでした。恐れながらも愛した自然……。この中から生まれたのが「雪女」の伝説なのです。

雪にちなんだこの種の話としては、ほかに「ゆきんぼ」「雪婆」などの伝説が知られています。いずれも新潟・山形・長野県など、雪深い地方にみられますが、この本では、小泉八雲の『怪談』に出てくる「雪女」の話をもとにしました。

さて、ここに登場する雪女は、“恐ろしい女”であると同時に、人間的な弱さも持った“哀れな女”でもあります。自分が禁じた話を語る巳之吉の言葉を、じっと聞かねばならなかった雪女の心は、どれほど苦しかったことでしょう。でも、それが雪女の宿命なのです。さいごに雪女は、“子どもたちへの愛”を残して去ってゆきました。それが雪女にとって、せめてもの“心の救い”だった、のではないでしょうか。

出版社「いずみ書房」より