絵本

希望の牧場

この絵本の内容紹介あらすじ

この物語は、牧場で働く牛飼い『オレ』の一人語りで描かれます。

『なあ、「牛飼い」って、しってるか? 牧場で、牛のせわして、くらしてる。それが牛飼いだよ。かんたんだろ?』

ところが、あの大きな地震が起きてから、牛飼いは簡単ではなくなりました。それは、牧場の近くに原子力発電所があったからです。

2011年3月11日、東日本大地震が起きました。その1時間後に原子力発電所を津波が襲い、放射能が広がったのです。

あっという間に町から人がいなくなりましたが、逃げられなかった動物達は町に置き去り。牛も豚も鳥も犬も猫も、世話してくれる人間を失って、次々と死んでしまいました。

それでも、誰もいなくなった町の牧場にオレは残りました。放射能が恐くとも、オレは牛飼いだから仕方がないのです。

牧場には330頭の牛。放射能を浴びた牛達は、食えもしないし、売れもしません。一文の価値も無くなっても、生きていれば喉が乾くし、お腹は減るのです。

牛達は、オレの10倍も大きな体で、いつもエサを探しています。エサ食って、クソ垂れて、エサ食って、クソ垂れて、それが肉牛の仕事なのです。

たくさん食って、うまい肉になるのが、牧場の牛達の運命。人間に決められた運命すらも、また人間によって、原発事故によって狂わされてしまったのです。

4月になると、原子力発電所から半径20キロ圏内が立ち入り禁止区域になりました。立ち入り禁止区域とは、放射能に汚染された区域であり、入ってはいけない区域。その区域の中に牧場はありました。

役人が「もう、ここには住まないでください」と言いに来ますが、オレは住み続けます。牛飼いなので、牛にエサをやり続けなければならないのです。

5月になると、立ち入り禁止区域の牛を殺処分することが決まりました。世話をする人間がいなければ、いずれは餓死します。牧場から逃げ出せば、畑を荒らしたり、厄介ごとを起こします。どうせ食えない牛なら、殺すことにしたというわけです。

また役人が来て「牛たちの殺処分に同意してください」と言いますが、オレは同意しません。殺処分を拒んだ牧場は他にもありますが、ほとんどの牧場主は仕方なく同意しました。

「オレらは泣く泣く、牛を殺した。なんでおまえだけ生かしてる?」

仕方なく同意した牧場主からそう言われることもありました。大事に育ててきた牛を殺処分したい人など誰もいるはずがありません。涙を飲んで、国の決定に従ったのです。その気持ちも痛いほど理解できる一方で、オレは同意しませんでした。

売れない牛を生かし続けるのは意味がないことでしょうか。バカなことでしょうか。葛藤しながらも、毎日オレは考え続けました。

意味を無くしたのは牛だけではありません。町のみんなが住んでいた家、子どもたちが通っていた学校、美味しい米が取れる田んぼ、海や川も、あらゆるものが意味を無くしたのです。そこに目に見えない放射能があるというだけで、町のみんなの故郷が消えたのです。

それでもオレは牛飼いを続け、いつしか『希望の牧場』と呼ばれるようになりました。


福島第一原子力発電所の警戒区域内に取り残された『希望の牧場・ふくしま』のことをもとに描かれた絵本です。この牧場では、エサ不足の問題が深刻していくなか、今も牛たちを生かすための取り組みが続いています。そして、その取り組みは人々の心を動かし、全国から支援が続々と届いています。また、絵本の売り上げの一部が活動資金として寄付されています。

希望が本当にあるのか、本当はないのか、それが分からずとも、毎日葛藤しながら牛の世話を続ける牛飼いの姿が描かれます。

国の決定に従った牧場主が正解なのか、従わなかった牧場主が正解なのか、どちらも正解と言えるかもしれないし、不正解と言えるのかもしれません。その答えのない現状があることを知ろうとすることが、まずは大切なのかもしれません。

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出版社からの内容紹介

東日本大震災後、発生した原発事故によって「立ち入り禁止区域」になった牧場にとどまり、そこに取り残された牛たちを守りつづけようと決めた、牛飼いの姿を描き出す。

出版社「岩崎書店」より
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