この絵本の内容紹介あらすじ

天神の縁日の中でも新年初めの縁日である初天神(1月25日)を題材にした落語をもとに描かれた親子のユーモア溢れるお話です。

お父さんが羽織りを羽織って初天神に出かけようとするとお母さんが金坊を連れて行くようにと説得します。金坊はいたずら好きで行儀が悪い少年なので家においておきたくないとお母さんは言うのです。

お父さんも金坊をそばにおいておきたくないのでなんとか断ろうと必死です。一緒に出かけるとあれを買ってこれを買ってとせがんでくるのでせっかくの初天神が台無しになってしまうと言うのです。

そうこうしていると金坊が帰ってきて、あれを買ってこれを買ってと言わないことを約束にお父さんはとうとう初天神に連れて行くはめになってしまうのです。

金坊は、あれを買ってこれを買ってと言わない約束を守っていい子にしているからと言って、そのご褒美に綿菓子を買ってとせがんできます。
金坊の悪知恵に呆れながら、綿菓子は甘くて毒だと断るお父さん。カルメ焼きやたこ焼きやお好み焼きも毒だと言って断ります。

ちょうど凧屋の前にさしかかると次は凧を買ってとせがんでは大声で泣きじゃくるので周りのお客さんはびっくり!
根負けしたお父さんは金坊に凧を買ってあげることになってしまいます。

近くの広場で凧を揚げることになりましたが、夢中になったのはお父さん。金坊が凧揚げを代わってとせがみますが……。

金坊とお父さんの初天神でのやりとりがユーモラスで面白い作品です。最後のオチに落語ならではの面白さを感じ取れるのではないでしょうか。

豆知識:「天神の縁日」の由来

当時、右大臣であった菅原道真は、その才能を妬まれ、左大臣であった藤原時平の策略により京都から九州に左遷されます。
その後、菅原道真は九州で最後を迎えますが、間も無く京都では落雷や天変地異が度々起きるようになりました。
そのため、菅原道真を「天神様」とした天神信仰が広まり、朝廷の名により北野天満宮(京都府)や太宰府天満宮(福岡県)をはじめとして日本各地に天満宮が建立されることになりました。

菅原道真の誕生日は6月25日、命日が2月25日と25日に縁が深いことから菅原道真を主祭神としている神社では、毎月25日を「天神の縁日」としているところが多くあります。