この絵本の内容紹介あらすじ

雨が降ると庭にナメクジとカタツムリが現れました。ナメクジもカタツムリもお日様が大の苦手なのです。

どのくらい苦手かというと、体が乾くと死んでしまうほどです。なので、普段は日が沈んでから動き始めます。

日照りが続くとカタツムリは殻の中に閉じこもり、体が乾かないように殻の入り口に薄い膜を張ります。
一方、ナメクジには殻がないので、日照りが続くと石や木の下などの日が当たらない湿ったところに避難しなければなりません。

ナメクジとカタツムリはよく似ています。カタツムリの殻を取るとナメクジに・・・なりそうですが、そうはならないのです。
カタツムリの殻の中には生きるために必要なものが詰まっているので殻を取ることはできません。

殻のあるカタツムリと殻のないナメクジ、似た生き物なのですが比較してみるとナメクジの可哀想な部分が見えてきます。

例えば、庭でお母さんがナメクジに遭遇すると「あら、いやだッ!どこから入ったんでしょ。ほんと、きもちわるいわッ!」っと怒ってしまいます。
一方でカタツムリに遭遇すると「あら、カタツムリ・・・・・・。マキちゃんっ、カタツムリがいたわよ!ほら、かわいいわよ!」っとニコニコ顔で子どもを呼ぶのです。

カタツムリは人気者。「で~んで~ん、む~しむし、カ~タツムリ~」という歌があって、本もたくさんあります。そして、「マイマイドン」や「オイエヤサン」という尊敬や親しみを込めた呼び名まであります。
ところが、ナメクジはどこに行っても「ナメクジ」なのです。歌や本もありません。

昔から、ナメクジに塩をかけると小さくなって死んでしまうと言われています。なので、ナメクジはイタズラに塩をかけられることもあるのです。
一方、カタツムリに塩をかける人はいません。

それからガーデニングのお店やドラッグストアには、ナメクジ退治の薬がたくさんあります。

カタツムリは好かれるのに、ナメクジは殻がないという理由だけでどうして嫌われてしまうのでしょう。そもそも、カタツムリには殻があるのにどうしてナメクジには殻がないのでしょうか。

実は、ナメクジの祖先は海の中で暮らす巻き貝。ナメクジも祖先を辿れば殻を持っていたのです。
では、どうしてナメクジは殻を失ってしまったのでしょうか。


ナメクジとカタツムリを比較すると、殻があるかないかだけで違いが大きいことに気づきます。普段は考えもしないようなことですが、実際に比較してみると様々な考えが巡ります。
ナメクジとカタツムリの見た目や印象の違いだけでなく、進化の過程まで話は及びます。その過程を知ると、なんだかナメクジにも少しだけ愛着が湧いてきそうです。