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ドナウ川のようせい

オーストリアの伝説

出版社からの内容紹介あらすじ

「ドナウ川の妖精」は、オーストリアに古くから残る伝説をもとにしたお話です。

ドナウ川はボルガ川に次いで、ヨーロッパでは2番目に大きく、本流だけでもオーストリア・ドイツ・チェコ・スロバキアなどを流れています。このため、東西ヨーロッパをつなぐ動脈として、古くから文化の交流・経済の発展など、人々に多大な恩恵をもたらしてきたのです。

こうした川に対する〈人々の愛着〉は、同時に古来より川にまつわる数々の伝説を生みだしました。「ドナウ川の妖精」や、ドイツのライン川に伝わる「ローレライ(妖精の岩)伝説」などは、その代表的なものです。また音楽の分野でも、ドナウ川を主題にした名曲が生まれました。シュトラウス作曲のワルツ「美しく青きドナウ」や、イワノビッチ作曲のワルツ「ドナウ川のさざ波」は世界的に有名です。

さて、〈妖精〉は、ヨーロッパのむかし話にたびたび登場してきます。話の内容によって、美醜・大小・善悪さまざまな特性を持って活躍しますが、一般には、ほぼ人間と同じ姿で魔力を持ち、気まぐれで良心がない、とされています。

この本は、〈水の妖精〉を恋したために、ドナウ川へ飛び込んで死んでゆく若者の話で、「水の妖精は人を溺れさせる」という古い諺の通りになるわけですが、はたして、それだけなのでしょうか。

水の妖精は、あくまで若者を助けようとしたのに、駄目でした。でも自分の意志を貫いた若者は、幸福感でいっぱいだったのです。

こうしてみるとこの伝説は、「もし幸福や不幸をもたらす妖精がどこかにいるとしたら、それは人の心の中にいる」と語っているような、そんな気がするのです。

出版社「いずみ書房」より
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