この絵本の内容紹介あらすじ

かけっこの練習で、いつもビリのあっちゃんという男の子。そして、幼稚園の運動会の練習をこっそりのぞいていたのは、一匹のきつねさんでした。毎日のかけっこ練習を見ているうちに、いつのまにかビリのあっちゃんを応援するようになっていたきつねさん。「あーあ、あのこ、またビリだ…」きつねさんはもどかしくて、いてもたってもいられなくなります。

きつねさんはとてもいいアイデアを思いつき、そしてあっちゃんに言うのでした。「いい考えがあるよ」と。そして、お兄ちゃんきつねにも頼みこんで、あっちゃんのお手伝いをすることに……。それはなんと、あっちゃんの履いている靴に化けること!

運動の苦手なお子さんを持つ親御さんなら、このきつねさんの気持ちに共感できるはず。「うちの子転ばないかしら」「いつものんびりで心配」「うちの子またビリだわ」と、見ているこちらがドキドキそわそわしてしまうこと、よくありますよね。でも、「いつも負けてばかりで悔しくないの?」「まったく運動オンチなんだから…」なんて、マイナスな言葉は子どもも傷つきますし、自信をなくしてしまうだけ。この絵本のあっちゃんという男の子だって、もっとかけっこがうまくなりたいという気持ちはあるのですから。

この絵本に出てくる幼稚園の先生は、あっちゃんにこう言います。「いちばんにならなくていいの。いっしょうけんめいさいごまでがんばればね。こんなにじょうぶでげんきっていうことをみんなでためしてみるのがうんどうかいなのよ」と。こんなふうに分かりやすい言葉で園児たちに伝えてくれる先生がいたら本当に素敵ですよね。

「運動会=お友達と勝ち負けを決めるもの」というイメージを持ってしまうと、勝てない子どもはどんどん楽しくなくなってしまいます。楽しく、元気よく、自分らしく体を動かすことを子どもにさせてあげたいですね。