この絵本の内容紹介
ある日、ポストに一通の手紙が入っていました。
「ようちえんのえんそくで アキラくんがまいごになり もう3日・・・ きっとおなかはペコペコです。 どうか、たすけてくださいませ。」
ビッグマザーは手紙を読み終えると、すぐにご飯を炊き、海苔や梅干し、鮭など様々な具材を用意しました。ビッグマザーの大きな手は、次から次へと美味しそうなおむすびを握っていきました。
こうして誕生したのが個性豊かな7つのおむすび。このおむすび達こそ『おむすびセブン』です。命を結び、世界を結ぶという壮大な使命を担っています。
おむすびセブンは、ビッグマザーに見送られながら勇ましく旅立ちました。丘を一つ越え二つ越え、街を通って、アキラくんの遭難する山を目指します。
見て見ぬふりは出来ない!
おむすびセブンはアキラ君のもとへと急いでいましたが、街外れの教会の前で立ち止まってしまいました。必死に泣く子猫達の声が聞こえてきたからです。
「捨て猫だ・・・かわいそうに・・・」
「ホラッ! みんな! 行くぞ!」
「でも、おなか すいているみたいよ」
「オレたちの使命は まいごのアキラくんを救うことだぞ!」
おむすびセブンは、五匹の捨て猫を前に議論を始めました。迷子のアキラ君を助ける使命感、お腹を空かせた子猫達を助ける使命感、この二つの使命感がぶつかり合います。
「あっしは 見て見ぬふりは できねぇよ・・・。」
そこに声を上げたのが、こんぶ左衛門。子猫達に食べてもらうことを選択するのでした。
このようにして、おむすび達は6つになりました。おむすびセブンは、おむすびシックスとなったのです。こんぶ左衛門の想いも背負ってアキラ君のもとへと急ぎます。
イジメっ子なんて相手にしない!
おむすびシックスの前にはさらなる困難が待ち受けていました。川に架かる橋を通りかかったところ、フラフラになった女の子に遭遇したのです。しかも、その女の子は今にも川に落ちそうでした。
「なにしてるんだいっ!
——どうしたんだいっ? わけを 言ってごらん」
いくら姐さんは、女の子を必死で引き止め、親身になって話を聞き始めました。すると、女の子はポツリポツリと事情を話しました。
「毎日、学校へ行くとイジメっこに変な顔! 変な顔! って言われるの・・・
それが、つらくて、つらくて・・・
ご飯も食べられなくて・・・
いっそのこと・・・川に・・・」
女の子は細い目や薄い唇がコンプレックス。ところが、いくら姐さんはそれを個性だと言いました。
いくら姐さんも昔は吊り目のことでイジメられていましたが、個性だと考えて今では自分の吊り目が大好きになったのです。さらには、イジメっ子は相手にしないのが一番だと言いました。
「もう何日も 食ってないんだろう? さぁ、あたしを食って 元気を出しな!」
いくら姐さんは、事情を聞くと放っておけなくなり、女の子に食べてもらうことを選択するのでした。
このようにして、おむすび達は5つになりました。おむすびシックスは、おむすびファイブとなったのです。いくら姐さんとの別れを惜しみつつ、アキラ君のもとへと急ぎます。
険しい道のりはまだまだ続く!?
おむすび達の行く先では、両親を殺された鬼の子に遭遇したり、生きる気力を失った孤独な老人に遭遇したり……問題が次々と待ち受けていました。
そして、その問題を解決するたびに、おむすび達は一つずつ減っていきました。それでも、おむすび達はアキラ君のもとへと急ぎます。
——果たして、一つのおむすびだけでもアキラ君のもとに辿り着けるのでしょうか。
ピクトブック編集部の絵本談議
おむすびセブンは、お腹を満たしてくれるのはもちろん、心も満たしてくれたんだね!
良いこと言うね!
おむすびセブンの最大の魅力は、きっとそこだと思うの。
うんうん。
ハートフルなお話の中には、ユーモアもたっぷり詰まっているよね!
それに、おむすび達の個性も豊かで面白い!
特に、おむすび鮭之助は格好良かったかも♪
ちなみに、巻末には「おむすび7シール」の付録付き!