この絵本の内容紹介あらすじ

川端誠氏の落語絵本シリーズ第5弾。昔は田舎の子どもたちは、親元を離れ、奉公といって大きなお店などに住み込みで働いていました。このお話の主人公「お春」もその一人。

河内屋という荒物問屋で掃除や洗濯、赤子のお守りといった仕事をしていたお春は、いつものように赤子を背負って道具屋の前にいました。

毎日、お春は道具屋でお面をじーっと見るのですが、ある日、店主から「なぜお面をいつも見ているのか」と尋ねられます。

お母さんの顔にお面の顔がそっくりであることを伝えると、では買っていったらいいのではと店主は言います。

しかし、お春はお金を持っていないので買えません。そこで、店主は悩んだ挙句、そのお面をお春に譲ることにしました。

お春はそのお面をタンスに大事にしまい、仕事の合間にタンスを開けては寂しさを紛らわしていました。

暮れのある日、若旦那がその様子を見て、お春を驚かそうと鬼のお面とすり替えてしまいます。

お春がタンスを開けるとびっくり!鬼のお面を見たお春は、お母さんに何かあったのかと慌てて実家に帰り始めるのでした。

河内屋の人たちは、突然いなくなったお春を探しに大慌て。向かいの近江屋にも捜索を手伝ってもらおうと考えますが、昨日、泥棒に入られそれどころではありませんでした。

お春は帰りの道中、草原で食べ物のいい匂いがすることに気づきます。疲れてお腹ぺこぺこのお春はその匂いに誘われて近づこうとするのでした。

しかし、茂る枯れたススキが顔にあたって、痛くて前に進めません。そこで鬼のお面で顔を保護して進むことに。進んだ先に男たちがいたのですが、鬼が出たと思い込んで大慌てで逃げてしまうのでした。

そこには置き去りにされた風呂敷包みが残されていましたが、男たちの正体はなんだったのでしょう。そして、お春はどうなることやら。

この落語は、「来年の事を言えば鬼が笑う(予測できない将来のことを考えても意味がないということ)」ということわざがオチになっています。年末年始の帰省に関連するお話でもあります。
大晦日やお正月に親子一緒に読み聞かせを楽しんでみられてはいかがでしょう。