この絵本の内容紹介
学校からの帰り道、マナブは電動車イスに乗ったおじさんに出会います。道の途中に止まったままのおじさんを不思議に思ったマナブは声をかけるのでした。
「おっちゃん、なにやってんの?」
「スイッチをいれてもウンともスンともいわんやろ」「きっとでんきがなくなったんや。まったく、トホホやで」
マナブと車イスに乗ったおじさんの関西弁の会話が印象的な絵本です。
マナブは、家に電話することを提案しますが、おじさんは今日に限って携帯電話を忘れてきたと言います。
次に、すぐそばのコンビニに公衆電話があることを教えるのでした。しかし、車イスに乗ったおじさんはそこまで行けないので困っているのでした。
そこでマナブは、コンビニまで車イスを押してあげることにしたのです。夏場、汗だくになりながら重い電動車イスを押す姿からマナブの優しさや一生懸命さが伝わってきます。
車イスを押しているとマナブの友人、ダイスケとヒデトシが駆け寄ってきて、帰り道の女子たちも集まってきました。
「ええことしてるやん!」
友人たちに褒められたマナブは誇らしげになるのでした。
「ぼくは、じぶんからすすんでくるまいすをおしてあげてるんや」
誇らしげになったマナブは、友人たちの手伝いを断って車イスを押しました。道行く人に褒められて、マナブはさらに誇らしげになります。
でも、いっときすると道行く人がいなくなりました。人通りが少なくなってきたのです。マナブは褒めてくれる人がいないので大変さだけが残りました。
誰も褒めてくれないのに何でこんなことしているんだろう。ボランティアって何だろう。
この絵本は、ボランティアの本質を教えてくれます。意外と抜け落ちてしまう「なんのため」を教えてくれる一冊です。大人にとっても再確認のいい機会になることでしょう。
物語の最後は、「ええことするのは、ええもんや!」と思えることでしょう。