この絵本の内容紹介
この話は、フランスのペローが1697年に出版した昔話集に発表されて有名になりました。グリムもその童話集に収録しましたが、生粋のドイツの民話ではないという見解により、第2版からは削除してしまいました。
さて、ペローは「長靴をはいた猫」の話の後に、次のように記しています。
「若い人たちにとっては、勤勉で世わたりのうまいほうが、もらった財産よりも、はるかに値打がある。」
どんなに貧しくとも、知恵を働かせることによって境遇を変えることができます。反対に、どんなに大金持ちであっても、お金の使い方を知らなければ、まさに「猫に小判」でしかありません。その人の一生を生かすも殺すも、自分自身の才覚にほかならないというのです。
フランス人は、エスプリ(機知)を尊ぶ国民であるといわれています。「長靴をはいた猫」も一種のエスプリを扱った作品ですから、フランス人のペローの筆になると、民話に素材を採ったとはとても思えないほど生き生きしています。
ねずみを取り、人間の愛玩動物であるはずの猫が、長靴をはいて、人間顔まけの活躍をする。素晴しく夢があって、それでいて人間にとって忘れてはならない本質を教えてくれているのです。
さらにペローは、もうひとつの寓意として、こなやの息子が姫の心をつかむことができたのは、身なりや容姿にも関係があるとして、これも軽視してはいけないと付け加えています。すなわち、人間というのは、外面と内面が調和してこそはじめて、値打がでるものだということなのです。