この絵本の内容紹介あらすじ

この「シンデレラ」の物語は、フランスの詩人シャルル・ペロー(1628年-1703年)の作品です。ペローが60歳のとき、幼いわが子たちのために書いたものですが、刊行されたのはおそく、1697年のことでした。

ペローの童話といえば、今日でも世界中の人々に愛好されています。「赤ずきん」や「眠りの森の美女」なども彼の作品だといえば、うなずかれる方も多いでしょう。

けれども、これらの作品はみな、村々に語り伝えられる話、いわゆる“民話”を題材としたもので、純粋なペローの創作童話ではありません。

「シンデレラ」もまた民話から拾ったもので、類話としては、フランス、イギリスをはじめ500話近くも採集されています。さらに、中国では9世紀の話もある(ヨーロッパでは16世紀のものが多い)そうですから、この話がヨーロッパ特有のものでないことがわかるでしょう。

継母や義姉に召使いのようにこき使われる娘は、“シンデレラ”(灰だらけ)とあだ名され、さげすまれます。が、シンデレラは魔法の杖のおかげで城の舞踏会に出席でき、王子さまと結婚する幸運をつかむのです。どんなに辛くとも、やさしい心と明るさを失わないシンデレラの勝利なのです。

さて、「シンデレラ」の話はグリムの作品にもあり、こちらは「灰かぶり」と題されています。しかし、「シンデレラ」が意地悪な姉たちもやがて許されるハッピー・エンドであるのに対し、「灰かぶり」は、シンデレラをいじめた罰として姉たちは目をくり抜かれるという残虐な結末となっています。そのため、夢物語としての美しさだけが残るペローの「シンデレラ」が、童話として世界的にもてはやされているのです。