この絵本の内容紹介あらすじ

「ぶんぶく茶釜」は、群馬県館林にある茂林寺の伝説をもとにしたお話です。

今から500年ほどまえのこと。茂林寺に住んでいた守鶴という和尚さんは、一つの茶釜を持っていました。それは、とてもふしぎな茶釜で、一度水を入れると、一昼夜汲んでもお湯はなくなりませんでした。また、守鶴和尚というのは、本当はタヌキが化けた姿だったのです。ところがある日、昼寝をしていてうっかり尾を出してしまいました。自分の未熟さを恥じた和尚は、その時から姿を消してしまった、ということです。

こうした伝説がもとになって、現在のような物語に変化したのは、徳川時代の初期のころだといわれています。

また、「ぶんぶく」という名の由来については、“茶釜は8つの功徳(ごりやく)を持っていたが、なかでも「福を分ける力」が一番大きかったので、福を分ける茶釜、つまり「分福茶釜」と呼ばれるようになったのだ。”とか“「ぶんぶく、ぶんぶく」お湯が湧くことから「文福茶釜」の名がついたのだ。”とかいわれています。

さて、タヌキは昔ばなしの主人公として、よく登場してきます。有名な「カチカチ山」などは、その代表的なものです。でも多くの場合、タヌキは人を化かしたり、いたずらしたり、人をだますなど、悪いことばかりします。けれども、この本に登場するタヌキは、お人好しで、楽天家で、そのうえ恩を忘れません。親切なくずやさんを助けようと、すすんで見世物になり、陽気なしぐさで、たちまち人気者になってしまいます。茶釜から手足を出したタヌキが、ひがさをさして綱渡りをしたり、踊りをおどるなんて、なんとも愉快なはなしではありませんか。