この絵本の内容紹介あらすじ

「マッチ売りの少女」は、アンデルセンの代表的な作品で、1848年に『新童話集』の中で発表されました。この当時のアンデルセンは、すでに童話作家として国内・外に、ゆるぎない地位を築いていました。

アンデルセンは旅行好きで、生涯の大部分を国外ですごし、中でもドイツとイタリアはもっとも好んだ国でした。その外国旅行中に、知人から一通の手紙が届きました。開けてみると、3枚の印刷された絵が入っており、この中のどれか一つについて童話を書いてほしい、というのです。アンデルセンは、すぐさま1枚の絵を選びだしました。それは、マッチを持っている小さな貧しい少女の絵でした。

これが「マッチ売りの少女」を書く直接の動機になりましたが、もう一つ、この作品にはアンデルセンの母の思い出が語られてる、といわれています。母は貧乏な家に生まれ、貧苦の少女時代をすごしました。そのため文字も読めず、子供の教育にも手助けできませんでした。しかし、信仰心は人一倍強く、人柄も善良だったようです。それに父親は、アンデルセンが11歳の時に亡くなったので、母に対する愛着が相当強いものであっても、不思議はありません。

さて「マッチ売りの少女」は、美しくそして悲しい物語です。夜が明ければ、新しい年になるというのに、そのばんこごえ死んでしまうのです。なんと憐れで、みすぼらしい生涯なのでしょうか。でも、この物語を読んだ私たちは知っています。少女が、どんなに幸福な気持ちで天国へのぼっていったか。なぜ、ほほえみを浮かべて死んでいたか……。

ここに、この物語の救いがあるのです。