この絵本の内容紹介あらすじ

こっちはアメリカのタンク。こっちはソビエトのタンク。男の子は、テーブルにおもちゃを広げて遊んでいました。

こっちはソビエトのミサイルで、こっちはアメリカのミサイル。どちらも一つ10億円です。

こっちはアメリカの街で、こっちはソビエトの街。みんなは平気な顔で暮らしています。ところが、誰かがボタンを押せば、あっという間に街は吹き飛びます。

こっちはソビエトの子どもで、こっちはアメリカの子ども。二人も今は仲良しですが、おもちゃ一つを取り合って、敵と味方で喧嘩が始まります。

戦争が始まると、銃弾が激しく行き交い、戦車の大砲も迫力満点。勝てば正義、負ければ悪です。

人を殺しても誰にも叱られない。戦争は便利です。

負けた方も勝った方も、みんな死んでしまいます。結局はおあいこなのです。

戦車や飛行機を格好良いと、最初は楽しく遊んでいた男の子。ところが、戦争によって誰も彼も死んでしまうのを想像して、段々と恐怖が迫ってきます。


テーブルの上で繰り広げられる「戦争ごっこ」を通して、戦争の醜さや恐怖、虚無感を描きます。

現実の戦場を兵士として経験したことのない自分にとって、戦争という悪をどのように捉えることが出来るか。戦争反対の声を上げる以前に、自分自身の内面に、戦争につながる意識下の衝動があるのではないか。そう考えながら、谷川俊太郎氏はこの絵本のテキストを書きました。

戦争が遠くにあっても、戦争が近くになくても、戦争について考えさせられる絵本。三輪 滋氏のポップなイラストも衝撃的です。