この絵本の内容紹介
山間の一軒家でひとり仕立てをしてきたおばあさん。ある夜更け、訪れた狐の母娘に、娘の花嫁衣裳を縫ってほしいと頼まれる。明日の日の入りまでにという、無理な注文を引き受けたおばあさんは、職人の意地をかけて縫いつづける。そして、約束どおり仕立て上げたおばあさんは、そのまま帰らぬ人に。二十三夜の月明かりのもと、狐の婚礼がおごそかにとり行われる。
仕立て職人のおばあさんの生涯と、狐の母娘との心の交流を、巧みに織り交ぜて語られる物語。過去と現在、現実と幻とがないまぜの世界を、繊細に、あでやかに表現した絵が、さらに趣をそえてみごと。