この絵本の内容紹介
「そやけど、頭の上に、なにのせてんねん、それー。桜か、桜の木か、ええー」
別名「あたまやま」ともよばれる古典落語を、故桂枝雀の口演をもとに絵本化しました。ある日、よっさんの頭に突然さくらの木がはえてきます。驚きつつも、どんどん大きくなってゆく木に、次第に情がわいてくるよっさん。しかし、花見の宴ができるほどに大きく育った頃から、よっさんの頭の上にはもうひとつの別世界が繰り広げられ、ついには衝撃の結末に……。「読む人が、不条理だけどその感覚はわかるわかる、というふうにしたいと思ったんですね。その不条理性に少しずつ気がつくように、いろんな場面で出してるんです」という宇野亜喜良さんの達人の技を、ページをめくるごとに変わる着物の柄にも、狂言まわしとなっている猫の様子にも……さまざまに、絵の随所にみることができます。不思議な話ですが、ずしりと心に残ります。ぜひ声に出して読んでみてください。