この絵本の内容紹介
「妖精というのは、もしかするとあんたのことじゃないかとおもうほどだ。あんたが、ひとおどりおどれば、これはもう妖精そのものだな」
——ある朝、うまれたばかりのもんしろ蝶が、池のそばにきた。そして、草の葉につかまって、池のおもてにうつる自分のすがたにみとれ、おもわず「ま、きれい!」とつぶやいた。池はくすっと笑っていった。「ああ。あんたはとてもきれいだよ」——。こんなふうに蝶と池の出会いは始まる。2つの命の物語。きらきらした光の粒のように輝くもんしろ蝶の短い命と、それに比べれば永遠のように長い池の命の時間。ある朝迎える蝶の死をするりと描いたこの作品に、短い命の蝶が可哀相なわけではなく、それぞれにそういうものとして命はあるということそのものを見事絵にした皆川明さん。シンプルで潔くおしゃれな、そして深い慈しみに満ちた絵本。