この絵本の内容紹介
おばさんはしいちゃんにだけ特別に伝わる方法を持っているみたいだった。おばさんはしいちゃんにだけ聞こえる声で話したから。
なかなか周囲になじめなくて、もうひとりの自分がいたらいいのに、と思っていた女の子、しいちゃん。しいちゃんがもうひとりの自分に会ったかのように、心安く言葉少なに、一緒にいられたのは、ちょっと風変わりなおばさんでした……。親でも先生でもない、たまにしか会わない大人と、春の河原の土手で過ごした時間。濃密で静かな時間です。それがあったからこそ、しいちゃんは大きくなるにつれて、一歩ずつ自分の世界を広げていくことが出来たのでしょう。淡々としたやさしい風景の中で成長していく女の子を繊細に描いた物語と、少し不思議なシーンが印象的なイラスト。幼い時の震えるような心持ちを懐かしく思い起こさせる絵本になりました。