この絵本の内容紹介
千江がとんであとをおうと、手まりはころころころころ、えらいいきおいでころがりおった。
表紙には、ぞくっとするはかなげな美しさを匂わせる女の子。「おは なしのたからばこ」3作品目の登場となる本書でも、さすが宇野亜喜良さん、と息を呑む程の力をまざまざと見せていただいた1冊。—— 霧の深い、山奥の小さな村の物語。千江のつくマリつきうたは、それは美しく、毎朝心地よく村人の目を覚ましてくれるものだった。ある日、千江のところに見知らぬ男の子が現れて……。この世に暮らしながら異界にするりと入りこむ千江の気配の妖しさは宇野さんだからこその絵。異界を恐れる大人に対して、村に異界から恵みをもたらした千江。今江祥智さんの静かな語り口でしっかりと読む人の心に刻み込まれる絶品の物語です。