この絵本の内容紹介
「なんてかわいいんだろう、うふふふふふ」と、殿さまはもう絵から目がはなせなくなって、さけびました。
おほほ、と小首をかしげて笑う表紙のおはなさん。こんなほっこりとかわいらしい女性がいつもそばにいると、男の人ってこうなっちゃうんだなあ、まったく。仕事に手がつかなくなり、恋女房がにっこりしてくれることなら、なんでもしてしまう、なんともおばかでかわいらしい男の人ばかりが出てくるお話です。これまで描かれてきた絵本では、殿様の横暴さ、幸せに暮らしていたのに別れさせられる夫婦の悲しさを主調にしているものが多かったのですが、本作は違います。ユーモラスでのびのびとした石井さんの絵、人間っておかしいねと、お茶目に語りかけてくる二宮さんの文章が楽しくて、にこにこしてしまいます。わがままな殿様ですら、なんだか愛らしく見えてきて……。しっかり者で知恵者でもあるおはなさんがいれば、お城もお城下の人たちの暮らしも大丈夫でしょう。結局、か弱いように見えて、女はしたたかで強いのよというお話なのかな?