この絵本の内容紹介
「しかたがない。この犬の目を替わりにつかうことにしよう」
目がズキズキと痛くなって目医者さんに駆け込んだ男がひとり。「いけませんなあ。くさりかけとるぞ」なんて言われて、固まってしまいます。冗談のきついお医者さんですが、腕は確かな名医なのです。目玉をくりぬき、きれいに洗って、また上手に入れてしまう……。そんな、あほなことできますかいな、とあきれる人も、噺を聞くうちにアハハハと納得して笑ってしまうのが、落語の見事なところ。テンポよく進むお医者さんと男の人のやり取りがおもしろい。コママンガみたいに、セリフと絵が対応して、なんともおかしな、表情豊かな3人と1匹の姿に、ページをめくる手がとまりません。洗った目玉を食べてしまった犬の満足そうなこと。落ち着いて次の手を打つお医者さんもさすがです。読み終わって、表紙を見返した時、なんだか心がざわざわしてしまうのはなぜかしら?落語ってシュールでポップだったんだな。伝統芸能の新たな魅力に目を開かされる1冊となりました。