この絵本の内容紹介
「ラプンツェルや、ラプンツェル、お前の髪を垂らしておくれ」
こんなふうに場面を切り取った「ラプンツェル」の絵は他にはないのではないでしょうか。カーテンのレース模様、ドレスの足元、植物の気配、長い髪を切り落とす瞬間の鋏、王子の胸によせるラプンツェルの表情、そして手…。匂い立つように詩的で湿度のある内田也哉子さんの文章を、何一つ説明するのではなく、部分をアップにすることで、他の削ぎ落とした部分への想像を喚起させる、物語の気配に満ちたモノトーンに近い世界。絵描きさんの想像力を湧き上がらせるような余地余白を残す内田さんの言葉の魅力と、宇野亜喜良さんのアートディレクションと、3者が奏でる音楽のようだ。静かな緊張感をもって完成された、上質な品格を感じる絵本なのです。