この絵本の内容紹介あらすじ

「お願いです、出てきてください、そしてわたしの足を、この赤いくつごと、あなたのおので、切ってしまってください!」

アンデルセン40歳の時のこの作品を、角田光代さんという言葉の名手によってお届けできることがうれしい。カーレンが赤いくつを履いたとたん、足は勝手に躍りだす。止まらない。なんと足を切り落としても、足はくつごと躍っているのだ。赤いくつは魔物だ。その意味するところが何であるか、この物語の底に流れるものは、読む人が様々な受け止め方をするでしょう。物語と絵の印象がぴたりと重なった時、絵本は心に入り込んでくる。網中いづるさんは、この怖くて痛くて哀しく美しい物語の気配をのびやかに描ききった。ドレスや靴や少女がさり気なくおしゃれなのも網中さんならでは。塗り込めた絵と余白の広がる絵との絶妙な呼吸。新しい古典の誕生です。