この絵本の内容紹介
「トコトントン トコトントン 源五郎の鼻高くなれ 源五郎の鼻高くなぁれ。」
「昔、昔、あったんだど……」とほっこり語られる昔話。新田新一郎さんは子どもたちに畳一帖大の大きな紙芝居を作って、太鼓を手に、このお話を長年語り聞かせてきました。ゆったりとした東北弁の大らかさ。トコトントン トコトントンと鳴らす太鼓の調子のよい響き。ずんずん鼻が伸びていくおもしろさ。聞いて楽しい、見て楽しいこの1作は、アトリエの子どもたちに大人気なのだそうです。演じ語られる昔話を絵本にするのは、とてもむずかしいものなのですが、田島征三さんは太鼓をもらった源五郎どんのお茶目でおっちょこちょいな性格や、緑あふれる村の美しさをぐいぐいと力強く描き出しました。絵本を縦開きに使ったダイナミックな展開が絵柄にもあっていて、印象に残る1冊となるはず。この絵本はぜひ、声に出して読んでください。きっと花咲き乱れる東北の遅い春を、やわらかな風を感じることでしょう。