この絵本の内容紹介
ここは北の森の奧深く、ある満月の夜、月に誘われて3びきのくまは散歩に出かけます。それを木の陰から見ている女の子の影…。それは月の精のチュプでした。ここではで生きものたちは自然を表す言葉をもつアイヌ語を話すのです。元気いっぱいのチュプは、くまの家に入りこみ…。くまたちの気配は、野性味あふれ、月あかりにぎらりと光る爪をもち、ぞくりとする猛々しさ。くまに見つかったチュプはするりと姿をかえ、光となって月にきえていきます。両者が言葉を交わすことなく別れてゆくことを、「もともと別々の世界に暮らす者同士であると考えた」という工藤さん。チュプが月の光として、再びくまの家に入り込んでくることもあるでしょう。大きなものに守られていることの深い余韻と静かな幸福感。アイヌ語の取材もきっちりした工藤さんの初絵本をあべさんががっちりと受け止め、北海道の2人ならではの新たな傑作「3びきのくま」の誕生です。