この絵本の内容紹介あらすじ

DV(ドメスティック・バイオレンス)を子どもの視点からとらえたノルウェーの絵本。

ぼくは、ボイ。パパとママの3人で暮らしている。でも、ぼくとママはいつもパパの機嫌を気にしている。ある日のこと、パパの様子がおかしい。ママはぼくに「静かにするのよ」って言う。パパどうしちゃったの。ぼくが何かしたの? パパ怒っているの? 「怒ってなんかいないぞ」とげとげした声でパパが言う。パパのなかの「怒り鬼」が大きくなって、パパはもうパパじゃなくなる。そしてとうとう、ぼくを守ろうと立ちはだかるママに「怒り鬼」はどんどん近づいて……

パパが暴力をふるうのは「自分が悪い子だから」と考え、家の事はしゃべってはいけないと辛抱していたボイでしたが、ある日、「誰かに話してごらん」と風や木や小鳥たちにはげまされ、王様に手紙を書くことで、物語は大きく展開していきます。この作品は、「悪いのは暴力をふるう大人のほう」というメッセージを伝えるとともに、DVに対しては、周りが早く気づいてあげること、がまんしないで助けを求めてもいいこと、そして暴力をふるう当事者自身が変わる努力をしなければならないことを訴えかけています。

ノルウェー文化省・教会省「児童文学賞」受賞作品。原作は、2009年に映画化(日本公開タイトル「アングリーマン」)され、広島国際アニメーションフェスティバルでグランプリを獲得したのをはじめ、世界各国で高い評価を受けています。

絵本「パパと怒り鬼  ―話してごらん、だれかに―」の一コマ
絵本「パパと怒り鬼  ―話してごらん、だれかに―」の一コマ2