この絵本の内容紹介
「ぼく,はちうえの せわを することにしたんだよ,ママ。」
ある夏のこと、少年トミーは沢山の鉢植えを持ち帰ってきました。
「まあ,すてきなこと。だけど,こんなに たくさん どうしたの? かえってから ママに はなしてちょうだい。いいわね,トミー。」
そう言って、お母さんは買い物に出掛けていくのですが……家に帰ってびっくり仰天。鉢植えの数が予想に反して多かったからです。
トミーは沢山の鉢植えをご近所さん達から預かってきたのです。ご近所さん達が夏休みの旅行から帰ってくるまでの間、1日2セントで鉢植えを預かる仕事を始めたのでした。
「こんな くだらないもの いっぱい ならべたの だれだい?」
お父さんは仕事から帰ってくると、玄関先で鉢植えにつまずいて怒鳴りました。
「わすれたの パパ? うちでは なつやすみに どこへも いかないから,なんでも すきなことを やっていいって いったでしょ。」
トミーに約束のことを言われ、お父さんはこれ以上強く言うことができません。トミーの楽しそうな日々とは反対に、お父さんは我慢の日々が始まるのでした。
それから一週間、さらに一週間経つと、植物はどんどん成長して部屋中がジャングルのようになりました。
「こんなこと いつまで つづけるつもりなんだろう。」
お父さんは不満を呟きますが、トミーの鉢植えの世話はまだまだ続きます。
トミーにとって鉢植えに囲まれた生活は特別なもの。森へピクニックに出掛けたような気持ちになったり、ジャングルの奥地にいるような気持ちになったり、「こんなに楽しいことは今までに一度もなかった」と思うのでした。
ところが、お父さんは対照的に「こんなにつまらないことは今までに一度もなかった」と愚痴をこぼすのでした。
そんなある日、トミーは不思議な夢を見ます。そして、目を覚ますと朝ご飯をほどほどに済ませ、さっそくどこかへ出掛け始め……。
トミーはどんな夢を見て何を思い立ったのでしょうか。そして、お父さんの苛立ちは無事に解消されるのでしょうか。
楽しい日々を過ごすトミーと苛立ちを隠せないお父さん、そして、そんな二人を温かく見守るお母さんのハートフルなお話です。
ご近所さん達が夏休みの旅行から帰ってきて、部屋中に置かれた鉢植えがなくなると、お父さんの心境に変化が現れ……。