この絵本の内容紹介
ある嵐の夜、海難事故で海に投げ出されてしまった犬のクラーク。おじいさんが大きな声で名前を呼びますが、その声は段々と小さくなっていきます。
意識を失っていたクラークは、気づくと浜辺に打ち上げられていました。早く家に帰りたい一心で、当てもなく海を泳ぎ始めます。
「おいおい そんなところで およいでたら さかなが つれないじゃないか」
クラークの前に現れたのは、イカダに乗った白いサルです。
魚釣りを邪魔されて、白いサルはとても不機嫌です。それとは裏腹に、クラークはイカダを不思議そうに見ています。木が海の上を浮いているのが不思議でしょうがなかったのです。
クラークがイカダにそっと片足を乗せてみたところ・・・、白いサルもろともバランスを崩してひっくり返ってしまいました。
「ごめんよ きみのじゃまをするつもりは なかったんだ」
クラークが一生懸命に謝るので、サルは少し機嫌を取り戻しました。それから、白いサルがクラークのことについて尋ねると、少しずつ記憶が戻っていきます。家族と世界旅行をしていたら突然船が沈没したこと、自分だけがこの島に辿り着いたこと、クラークの様々な記憶が蘇ります。
ところが、記憶を取り戻した途端、自分が独りぼっちになってしまったことをクラークは実感しました。悲しみのあまり涙が溢れてきます。
白いサルは気休めを言ってクラークを慰めました。ずっと独りぼっちで暮らしてきた白いサルにとって、その悲しみはどうにかなると思えたのです。昼寝でもしようとクラークに提案するのでした。
白いサルが木の上で昼寝をしようとすると、突然、クラークに不安が募りました。飼い犬として育ってきたクラークにとって、自然のなかで寝ることは慣れないことだったのです。
そのクラークの不安を聞くと、白いサルは逆にびっくり。材料を集めてベッドでも作ったらどうかと言って、呆れてしまいます。
そうして白いサルは眠りに就こうとしますが、クラークのことが気になって、なかなか眠ることができません。結局、クラークのベッド作りを手伝うことにするのでした。
クラークと白いサルは、同じ時間を過ごすうちに段々と仲良くなっていきます。それでも、クラークは離れ離れになった家族のことが忘れられません。
クラークの不安や悲しみをどうにかしようと、白いサルは家族に会える方法を考えました。そして、この島に大昔から住む、守り神である主を探しにいくことにしました。主なら家族に会える方法を知っているはずだと考えたのです。
翌日、白いサルとクラークはさっそく出発。ところが、白いサルは主に会ったことはありません。そこで、この島で一番情報通のフラミンゴのところを訪ねることにしました。
そこから無人島での大冒険が始まりますが、主を見つけることはできるのでしょうか。そして、クラークは家族と再会することができるのでしょうか。
都会で飼い犬として暮らしてきたクラーク。無人島で独りぼっちで暮らしてきた白いサル。性格も暮らしてきた環境も全く違うふたりですが、同じ時間を過ごすうちに心境に変化が現れます。
自分だけでは何もできなかったクラークは段々とたくましくなり、独りぼっちの白いサルは誰かと過ごすことの素晴らしさに気づいていきます。
白いサルとクラークが成長する姿、友情を育んていく姿に、ほっこり心が温まることでしょう。